要約
タバココナジラミバイオタイプQとBの交雑は認められず、カボチャ白化症の発現能力はバイオタイプBに比べバイオタイプQで低い。またバイオタイプQ幼虫が寄生したカボチャ葉には、寄生部位にバイオタイプBと同様の退緑小斑点が確認される。
- キーワード: タバココナジラミ、バイオタイプQ、バイオタイプB、交雑、性比、白化症
- 担当: 宮崎総農試・生物環境部
- 代表連絡先: Tel:0985-73-6448
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 研究・参考
背景・ねらい
2004年に国内で確認されたタバココナジラミバイオタイプQは、その生態に不明な点が多く、バイオタイプBとの生態的な違いも十分明らかとなっていない。そこで、本種の基礎的な知見とするために、バイオタイプQとBにおける交雑の可能性およびカボチャ白化症の発現能力の差を明らかにする。
成果の内容・特徴
- タバココナジラミは産雄単為生殖であるため、異なるバイオタイプ間の交雑は次世代雌成虫の有無により確認できる。バイオタイプQとBの雌雄の組み合わせでは、次世代虫は全て雄となり、交雑は確認されない(表1)。
- 黒皮カボチャ(品種:宮崎早生2号)に両バイオタイプをそれぞれ接種した結果、バイオタイプBでは本葉3枚目以上の葉、まきひげおよび茎に明瞭な白化が認められる。バイオタイプQでは本葉3枚目以上の葉に白化症が認められるが、バイオタイプBに比べてその発生葉率は低く、発生程度は軽微である。また、まきひげおよび茎の白化症は認められない(表2、表3)。
- バイオタイプQを接種したカボチャ葉では、幼虫の寄生部位にバイオタイプBと同様の退緑小斑点が確認される(表2)。
成果の活用面・留意点
- バイオタイプQの生態研究において基礎知見となる。
具体的データ
(松浦 明)
その他
- 研究課題名: 発生予察事業
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2005年度
- 研究担当者: 松浦 明
- 発表論文等: 松浦(2010)九病虫研会、56:72-76