要約
ナシ白紋羽病で衰弱した樹を回復させるための方法として、根接ぎ(寄せ接ぎ)とフルアジナム水和剤(商品名:フロンサイドSC)の併用処理が有効である。
- キーワード: ナシ、白紋羽病、根接ぎ
- 担当: 佐賀果樹試・病害虫研
- 代表連絡先: Tel:0952-73-2275
- 区分: 九州沖縄農業・病害虫
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
ナシ白紋羽病の有効薬剤として広く普及しているフルアジナム水和剤(商品名:フロンサイドSC)を、感染、発病する前に灌注処理すると高い効果を発揮する。一方、発病後に樹勢が低下した樹に処理しても十分な効果はあがらず、樹勢回復はきわめて困難である。
そこで、ナシ白紋羽病発病の樹勢回復策として、ナシの石ナシ対策やリンゴ高接病の被害防止策として導入されている根接ぎ(寄せ接ぎ)の有効性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- ナシ白紋羽病が発病し樹勢が弱った樹木は根部が枯死しており、養水分を地上部に供給することができない。そこで、前年の秋期に台木を植えて十分に細根を張らせておき、翌年の6~8月に根接ぎ(寄せ接ぎ)処理を行うと、地上部に養水分が供給され樹勢が回復する。樹勢回復には2~3年を要する場合がある(表1)。
- できるだけ多くの養水分を供給するために、なるべく多くの本数の台木を植え付けておいた方がよい。また、植え付け時にはフルアジナム水和剤(商品名:フロンサイドSC)を十分量灌注しておく。
- 根接ぎ作業の際には、白紋羽病が発病した成木の樹皮を形成層が見えるまで剥ぎ取り、台木の先端を釘、木工用ボンドで固定する。活着がうまくいかず接ぎなおすことを想定して、6~8月のできるだけ早い時期に作業を始めた方がよい(データ略)。
- 台木は直径1cm程度のものがよい。大きさがこれより細いと胴枯病に罹りやすく、太すぎるとしなりが悪いため作業がしづらい。
成果の活用面・留意点
- 根接ぎに用いる台木からは新梢(ひこばえ)が発生するので、随時除去すること。
- 根接ぎに用いる台木を刈払機等で切断しないよう注意すること。
具体的データ
その他
- 研究課題名: ナシ白紋羽病の効率的防除技術の開発
- 予算区分: 国庫補助
- 研究期間: 1998~2000年度