九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

機能性の高い青シソペースト製造のための前処理法

要約

青シソを5分間蒸してペーストにすることにより、鮮やかな緑色でロズマリン酸やポリフェノールを含み、抗酸化活性や抗アレルギー活性の高い青シソペーストを製造できる。

  • キーワード: 青シソ、ペースト、ロズマリン酸、抗酸化活性
  • 担当: 熊本県産業技術センター・食品加工室
  • 代表連絡先: Tel:096-368-2101
  • 区分: 九州沖縄農業・フードシステム
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

シソは、中国から漢方薬として日本に渡り、さまざまな漢方処方が生み出されているが、最近ではシソに含まれるロズマリン酸には抗アレルギーなどの機能性が示唆されているため、身近な抗アレルギー食材として注目されている。

熊本県では、周年的に青シソの生産・販売を行っている規模の大きい農家において、生産物の有効利用のための加工品の開発が求められている。そのため、外食産業等にニーズの高い一次加工品としての青シソペーストの開発に取り組んだ。

そこで、機能性の高い青シソペーストを製造するため、加熱処理などの前処理による機能性成分や抗アレルギー活性の消長を調査した。

成果の内容・特徴

  • 青シソペーストは、青シソを水洗・脱水後、1生、2湯がき(1分)、3蒸し(5分)の加熱処理を行って余分な水分を脱水しフードプロセッサーでペーストにする(図1)。
  • 青シソペーストの色調は、生ペーストが黒っぽい緑色、湯がきペーストがくすんだ緑色であるのに対し、蒸しペーストは鮮やかな緑色になる。また、冷凍保存中の変化はほとんど無い(表1)。
  • 冷凍保存10ヶ月目の総ポリフェノール含量は、生ペーストの165mg/100gに対し、湯がきペーストでは約2.9倍の475mg/100g、蒸しペーストでは約4.8倍の790mg/100gで、蒸しペーストが最も多い。同様に、ロズマリン酸含量も蒸しペーストが最も多い(表2)。
  • 抗酸化活性を示すDPPHラジカル消去活性は生ペースト<湯がきペースト<蒸しペーストの順に高く、総ポリフェノール含量と非常に高い相関関係(r=0.996)が認められる(表2)。
  • 抗アレルギー活性の指標であるヒアルロニダーゼ阻害活性(IC50値)は、新鮮な青ジソに比べると半分以下に低下するが、蒸しペーストでは1.2mgと生ペーストより高い(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 生産農家・食品企業等による青シソペースト製造の時の参考資料とする。
  • 青シソペーストを解凍後、ソースなどに加工した場合の機能性成分等の残存量について検討が必要である。
  • 「蒸し」の条件は、青シソの処理量や加工機器の能力などの条件により最適化する必要がある。

具体的データ

表1

図1

表2

表3

(三牧 奈美、工藤 康文)

その他

  • 研究課題名: 県産農産物の一次加工品の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2007~2009年度
  • 研究担当者: 三牧 奈美、工藤 康文