九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

香酸カンキツ「ヘベズ」の収穫時期による成分変化

要約

ヘベズの果肉酸度は8月から9月に高く、糖含量は10月から11月上旬に高い。また、果肉のフラボノイド含量は8月上旬から中旬に、果皮は8月から9月に高い。果肉および果皮の総ビタミンC(V.C)含量は、10月から11月に高い。 

  • キーワード: ヘベズ、収穫時期、ビタミンC、フラボノイド
  • 担当: 宮崎食開セ・食品開発部
  • 代表連絡先: 電話0985-74-2060
  • 区分: 九州沖縄農業・フードシステム
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

宮崎県特産の香酸カンキツであるヘベズは、スダチやカボスと同様に青い果実を酢として利用する。種子が少なく果皮が薄く、果汁を絞りやすいのが特徴である。近年の和カンキツブームにより、加工用果実の需要は年々増加している。しかしながら、ヘベズの加工利用上の特性や機能性を検討した例はわずかであり、収穫時期ごとの成分変化においては全く報告がない。そこで、加工用果実として利用されている8月から10月の露地栽培物と、現在利用されていない11月以降の着色果実について、収穫時期ごとの特性や機能性の変化を検討し、情報提供することを目的とする。 

 

成果の内容・特徴

  • ヘベズ果実の平均個体重量は、8月から11月にかけて減少することなく増加し続け、8月上旬には40gであるが、11月下旬には108gと2.5倍近く増加する。果肉あたりの果汁率(果肉重量(g)×果肉水分含量(%)/果肉重量(g))は、8月から11月にかけて減少することなく増加し続け、8月上旬には66%であるが、11月下旬には76%と10%増加する。
  • ヘベズ果肉の果汁酸度は8月から9月にかけて高くなる。また、果肉中の糖は、ショ糖、ブドウ糖、果糖で構成され、ブドウ糖および果糖のような還元性の糖が6割を占める。10月から11月上旬にかけて各糖の総量が増加する傾向が認められる(図1)。
  • ヘベズ果肉および果皮の総V.C含量は10月から11月にかけて増加する。また、還元型V.C(AsA)および酸化型V.C(DAsA)の割合については、収穫時期や部位で異なるが、着色の始まる11月下旬で抗酸化活性を有するAsAの割合が高まる傾向が認められる(図2)。
  • ヘベズ果肉および果皮はナリルチン、ナリンギン、ヘスペリジン、ネオヘスペリジンの4種のフラボノイドを含有する。果肉の各フラボノイドの総量は8月上旬から中旬にかけて、果皮は8月から9月にかけて高くなる傾向が認められる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • ヘベズを用いた製品を製造、開発する企業が、原料入手や製品開発する際の情報として活用する。

具体的データ

図1

図2

図3

 

その他

  • 研究課題名: 機能性を活かす加工技術の開発
  • 予算区分:県単
  • 研究期間: 2006~2008年度
  • 研究担当者: 酒井美穂(宮崎食開セ)、木下哲次(南部農改セ)、一政洋介(JA日向)、奥野智子(宮崎産支財)