九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

地球温暖化がウンシュウミカンおよびポンカンの生育に及ぼす影響

要約

1981年以降、気温の上昇に伴い発芽日が「三保早生」で3~5日、「吉田ポンカン」で8~11日早くなり、満開日が「三保早生」で1~4日、「吉田ポンカン」で5~7日早くなった。「吉田ポンカン」は満開日が早くなると11月下旬の着色歩合が高くなった。

  • キーワード: 地球温暖化、ウンシュウミカン、ポンカン、満開、発芽、着色
  • 担当: 鹿児島農総セ・果樹・栽培研究室
  • 代表連絡先: Tel:0994-32-0179
  • 区分: 九州沖縄農業・果樹
  • 分類: 研究・参考

背景・ねらい

地球温暖化に伴う気温の上昇は、本県の果樹栽培にも影響を与えつつある。そこで、垂水市における1971年以降の気温の変動が、ウンシュウミカン「三保早生」およびポンカン「吉田ポンカン」の生育相に与える影響を評価する。

成果の内容・特徴

  • 発芽日は、1971~1980年に比べて、1981年以降、「三保早生」で3~5日、「吉田ポンカン」で8~11日早い(表1)。「三保早生」では1~3月、「吉田ポンカン」では2~3月の平均気温と相関が高い(データ略)。
  • 満開日は、1971~1980年に比べて、1981年以降、「三保早生」で1~4日、「吉田ポンカン」で5~7日早い(表1)。「三保早生」では2~4月、「吉田ポンカン」では2~3月の平均気温と相関が高い(図1、図2)。
  • 「吉田ポンカン」では「三保早生」に比べて、発芽日および満開日の前進化が顕著であり、気温の変動が発芽日および満開日の前進に与える影響は、ウンシュウミカンよりポンカンで大きい(表1)。
  • 収穫期の糖度、クエン酸含量は「三保早生」、「吉田ポンカン」ともに年平均気温との間で相関が認められない(データ略)。
  • 「吉田ポンカン」は、満開日が早くなると11月下旬の着色歩合が高まる(図3)。
  • 垂水市における4半期の平均気温を比較すると、1971~1980年に比べて、1981年以降の約10年毎(1981~1990年、1991~2000年、2001~2008年)の平均値は全ての期間で上昇傾向にある。特に1991~2000年の3~5月、9~11月、12~2月と2001~2008年の9~11月、12~2月では、0.5~0.8°Cの顕著な上昇が見られ、夏季よりも冬季の気温上昇の程度が大きい傾向にある(データ略)。

成果の活用面・留意点

  • 今後も気温の上昇に伴い発芽日および満開日が早くなることが予想され、樹種により気温の変動に対する生育反応に違いが認められるため、栽培管理面での対応策を樹種別に検討する必要がある。

具体的データ

図1

図2

図3

表1

(矢野 浩平、川村 秀和)

その他

  • 研究課題名: 地球温暖化が園芸作物に与える影響評価
  • 予算区分: 委託プロ(園芸評価)
  • 研究期間: 2009年度
  • 研究担当者: 矢野 浩平、川村 秀和、松島 健一