要約
バレイショ炭化物はバレイショ栽培においてカリウム代替としての施用効果が化学肥料と同等である。
- キーワード: バレイショ、廃棄物、炭化物、カリウム
- 担当: 長崎農技セ・環境研究部門・土壌肥料研究室
- 代表連絡先: Tel:0957-26-3330
- 区分: 九州沖縄農業・生産環境(土壌肥料)
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
バレイショの小いも、傷いもおよびそうか病罹病いも等の規格外品の大部分は、廃棄物として処理されており、その利活用は重要な課題である。炭化法は、高温で処理するため病原菌残存の恐れがなく、資源の循環再利用を進める有効な手段である。バレイショ炭化物はカリウムを多く含むことから、カリウム肥料の代替物として活用が期待される。そこで、バレイショ炭化物をカリウム肥料代替物としてバレイショに施用し、収量や品質に与える影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- バレイショ炭化物はカリウム含量が高く、pHが高い特徴をもつ(表1)。
- バレイショ炭化物でカリウム肥料代替率を100%としてバレイショに施用すると、収量は、慣行の化学肥料とほぼ同等で、上いも個数についてはやや増加する(図2)。
- バレイショのでんぷん価及び茎葉、塊茎中のカリウム含量(データ略)は慣行の化学肥料施肥とほぼ同等である(図2)。
- 4連作栽培跡地土壌の交換性カリウム含量及び全炭素は、バレイショ炭化物施用で高まる。pH(H2O)は慣行の化学肥料と同等である(表2)。
成果の活用面・留意点
- バレイショの炭化処理は、ロータリーキルンタイプ・電気式の炭化炉を用い、加熱開始後、炉内の処理温度が300°Cに上昇するまで約20時間行う。
- バレイショ炭化物は全カリウムを代替率100%として施用する。
具体的データ
(長崎県農林技術開発センター)
その他
- 研究課題名:未利用資源の炭化処理による合理的農業利用技術の確立
- 予算区分:県単
- 研究期間: 2007~2009年度
- 研究担当者:大津 善雄、永田 浩久、大井 義弘、大井 友紀子、里脇 岩男