要約
矮性ネピアグラス草地に、イタリアンライグラスを追播し、堆肥を施用すると、翌春の雑草抑制効果が高く、矮性ネピアグラスの越冬に影響を及ぼさずに同一草地で十分な冬作粗飼料を確保できる。
- キーワード: イタリアンライグラス、冬作、追播、矮性ネピアグラス、雑草
- 担当: 長崎畜試・大家畜科
- 代表連絡先: Tel:0957-68-1135
- 区分:九州沖縄農業・畜産草地(草地飼料作)
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
ネピアグラスの矮性晩生品種Dwarf-late(宮崎大学保有,以下,矮性ネピアグラス)は、他の暖地型イネ科牧草に比べて、茎に対する葉身の比率、粗タンパク質含量およびin vitro乾物消化率でみた飼料品質が高く、長崎県低標高地でも高い越冬性を示すことが明らかとなっている。しかし、本草種を経年利用する場合、同一圃場での冬作の粗飼料確保ならびに春季の雑草対策が緊急の検討課題である。そこで、矮性ネピアグラスの最終刈取り後、秋季にイタリアンラグラスを散播して堆肥を施用し、同一圃場でのイタリアンライグラスの収量性、堆肥施用効果ならびに春季の雑草発生程度について調査し、冬作栽培の可能性について明らかにする。
成果の内容・特徴
- 矮性ネピアグラス草地において、イタリアンライグラスを追播した場合は、イタリアンライグラス無追播の場合に比べて、生育初期および1番草における雑草の現存量が少ない(表1)。
- 矮性ネピアグラス草地にイタリアンライグラスを追播し、堆肥を施用すると、堆肥を施用しなかった場合と比べて、春季および1番草におけるイタリアンライグラスの乾物重が高く、雑草比率が相対的に低いことから、雑草の抑制効果も高い(表1)。
- 矮性ネピアグラス草地にイタリアンライグラスを追播することで、3回刈り合計の乾物収量で1,100~1,400kg/10aが得られ、同一草地において十分な冬作粗飼料を確保できる(図1)。
- 矮性ネピアグラス草地にイタリアンライグラスを追播し、堆肥を施用しても矮性ネピアグラスの越冬に影響しない(表2)。
成果の活用面・留意点
- 同一草地での粗飼料の省力的な年間生産体系として活用できる。
- 腐熟堆肥は雑草発生の原因となるため、完熟堆肥を利用する。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 越冬性の高い夏季飼料作物を利用した栽培体系の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2006~2008年度