九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

肉用鶏へのニューカッスル病ワクチンの適正な飲水投与法

要約

夏期にND生ワクチンを飲水投与する場合、絶水4時間では給水幅は標準の1cm/羽で良く、絶水時間が標準的な2時間では、給水幅は2cm/羽を確保する必要がある。冬期は絶水2時間で給水幅1cm/羽の標準的な投与法で、良好な抗体価を得ることができる。

  • キーワード:ニューカッスル病、ND生ワクチン、飲水、絶水、給水幅
  • 担当:福岡農総試・家畜部・家きんチーム
  • 代表連絡先: Tel:092-925-5232
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
  • 分類:技術・普及

 

背景・ねらい

福岡県では平成16年以降、ニューカッスル病(ND)が発生し、予防策の強化が求められている。通常、ND生ワクチンは飲水で投与されるが、短時間で効率よく飲ませることが重要である。生産現場ではワクチンの用法用量に法った絶水2時間および給水器数が飼養管理プログラムに基づく80~100羽に1個の割合(給水幅1cm/羽程度)で投与されている。しかし、用法用量および同プログラムのとおりワクチン投与されていたにも関わらずND発生事例が報告され、また本県銘柄鶏『はかた一番どり』では飼養期間の9週間とワクチン追加接種の時期(60日齢程度)が重なるため、ワクチンの摂取量が不十分になる可能性が指摘されている。
そこで、『はかた一番どり』に対するワクチンの効果を確実にするために、ワクチン投与前の絶水時間および給水幅の違いがND抗体価へ及ぼす影響を調査し、適正な絶水時間および給水法を検討する。

成果の内容・特徴

  • 夏期および冬期ともに、2時間絶水すれば給水開始から30分で、製薬会社推奨の飲水量に達する(図1)。
  • 夏期に絶水2時間・給水幅1cm/羽の標準的な投与法を行うと、9週齢ND抗体価が抗体価8倍以下(福岡県家畜保健衛生所の指導の目安)となる危険域個体の出現率(危険域出現率)が高まる(表1)。
  • 絶水を4時間行えば危険域出現率が標準的な投与法の17.5%から8.5%に半減する。絶水時間を標準的な2時間とする場合は、給水幅は2cm/羽(危険域出現率2.6%)を確保する必要がある(表1)。
  • 冬期は絶水2時間・給水幅1cm/羽の標準的な投与法で良好な抗体価を得ることができる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 飼養期間が60~70日齢程度の肉用鶏にND生ワクチンを飲水投与する際に活用する。
  • 生産現場においては、給水管内の水を抜くなど、確実な絶水が実施されるよう注意する。また、給水幅が不足する場合は別個にワクチン投与用給水器を追加する。
  • 夏期に4時間の絶水を実施する場合、鶏のストレス防止のため、早朝・夜間に行う。
  • 冬期にNDワクチンを投与する場合は給水器数を増やすと9週齢時に抗体価が下がることがあるので、用法用量および飼養管理プログラムを遵守する。

具体的データ

図1

表1

 

 

その他

  • 研究課題名: 飲水ワクチン投与のための絶水・給水技術の改善
  • 予算区分:県単(経常)
  • 研究期間:2007~2008年度
  • 研究担当者: 福原絵里子、中村由佳里、西尾祐介