九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

超早期母子分離した黒毛和種子牛における代用乳多給の効果

要約

超早期母子分離を行って人工哺育する黒毛和種子牛について、代用乳の最大量を600g×2回/日とする給与方法は、最大量を300g×2回/日とする給与方法に比べて、哺乳期間中では増体に差がみられないものの、離乳後では日増体量が大きい傾向にある。

  • キーワード:超早期母子分離、黒毛和種子牛、代用乳多給、日増体量
  • 担当:長崎農技セ・大家畜研究室
  • 代表連絡先: Tel:0957-68-1135
  • 区分:九州沖縄農業・畜産・草地(家畜)
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

生後3日齢で超早期母子分離を行う子牛では、哺育期における発育が、その後の育成期の発育にも大きく影響すると考えられることから、哺育期における栄養摂取量が特に重要である。近年、黒毛和種の増体能力の向上にともない、哺育期の発育能力を十分に発揮させる代用乳多給技術が報告されている。そこで、1日の最大給与量で通常よりも2倍量の代用乳を給与し、哺育および育成期間における増体に及ぼす影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 代用乳の最大量を600g×2回/日とする代用乳多給は、代用乳の最大量を300g×2回/日とした場合と比べて、哺乳期間(4-69日齢)のカーフスターターおよび乾草の乾物摂取量が減少するものの、離乳以降(70-270日齢)の、濃厚飼料および乾草の乾物摂取量は同等である(表1、表2)。
  • CPおよびTDNの摂取量でみると、哺乳期間中および育成期間中で両区に差はない(表3)。
  • 日増体量は、離乳時(生後70日齢)で両区に差がみられなかったが、離乳後の生後120日齢および生後270日齢で、代用乳多給区が対照区よりも大きい傾向にある(表4)。

成果の活用面・留意点

  • 超早期母子分離を行う農家の哺乳体系として活用できる。
  • 代用乳を多給するとコストが高くなるため、コストを考慮した指導の必要がある。

具体的データ

表1

 

表2

表3

表4

  

その他

  • 研究課題名:肉用牛における早期肥育に適した哺育・育成技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間:2008~2010年度
  • 研究担当者:深川聡、橋元大介、大串正明