要約
クワシロカイガラムシの主要土着天敵であるチビトビコバチとベルレーゼコバチの発生のピークはクワシロカイガラムシのふ化盛期頃に、サルメンツヤコバチの発生のピークはふ化盛期から1週間~10日後頃にある。
- キーワード: チャ、クワシロカイガラムシ、土着天敵、寄生蜂
- 担当: 長崎総農試・東彼杵茶業支場
- 代表連絡先: Tel:0957-46-0033
- 区分: 九州沖縄農業・茶業
- 分類: 研究・参考
背景・ねらい
クワシロカイガラムシは、樹冠内に生息するので防除が難しく、また発生が多くなると枝が枯死するため、茶の重要害虫となっている。加えて近年は発生が拡大傾向にあり、各産地で大きな問題となっている。一方で、本種は天敵による密度抑制効果が高いことが知られている。そこで、土着天敵の保護活用を目的として、クワシロカイガラムシのふ化盛期と主要な天敵寄生蜂の発生時期との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
- チビトビコバチとベルレーゼコバチは、クワシロカイガラムシのふ化盛期と雄成虫の羽化時期頃に発生のピークがある(図1、図2)。
- サルメンツヤコバチは、クワシロカイガラムシのふ化盛期から1週間~10日後頃に発生のピークがある(図3)。
成果の活用面・留意点
- クワシロカイガラムシのふ化盛期は防除適期でもあるので、この時期に発生のピークがあるチビトビコバチ、ベルレーゼコバチ、サルメンツヤコバチを保護活用することが重要であり、クワシロカイガラムシのふ化盛期頃にはこれらの天敵に影響の大きい合成ピレスロイド剤や有機リン剤の散布を極力控える。
- 本情報に掲載したデータは、2004年から2007年にかけて長崎県内各地の慣行防除園で調査した結果から抜粋したものであり、地域差や年次差はあるものの3種の寄生蜂は調査地点における優占種である(表1)。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 気象と生育予測による茶園管理技術とクワシロカイガラムシの防除法の確立、飲む人・作る人に安心な茶生産技術の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2004~2008年度