九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

セルトレイを利用した冬どりタマネギ生産用の省力子球育成法

要約

冬どりタマネギ生産に用いる子球をセルトレイを用いて育成すると、子球の球径は地床で育成する慣行と同等の約2cmになり、球径の揃いが向上する。また、育成作業時間は慣行の約5割に削減できる。

  • キーワード: 冬どりタマネギ、セルトレイ、子球育成
  • 担当: 佐賀上場営農セ・畑作・経営研究担当
  • 代表連絡先: Tel:0955-82-1930
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

タマネギ子球を用いたセット栽培により、冬季に新鮮で軟らかいタマネギを生産することができる。しかし、地床で育成する慣行の子球育成法では、掘り取り、吊り球貯蔵、調製作業等に多くの労力を要するとともに、子球の大きさが不揃いになりやすく、定植前に子球の選別が必要である。そこで、子球育成作業の省力化を図るため、セルトレイを利用して掘り取り作業、吊り球作業、調製作業が省力できる子球育成技術を開発する。

成果の内容・特徴

  • 子球育成用ベンチは、エキスパンドメタルの上にビニル、吸水マット、防根透水シートを下から順に敷いて作成する(図1)。
  • セルトレイの下に吸水マットを敷くことで苗の生育が促進される(表1)。
  • セルトレイを利用して子球を育成した子球の球径は地床で育成する慣行法と同等の約2cmとなり、揃いが向上する。その子球を用いた栽培での商品収量は慣行法と差がない(表2)。
  • セルトレイを利用した子球育成法の作業時間は、慣行法の約5割に削減でき、経費は約1割削減できる(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 播種時期の2月下旬は気温が低いためハウス内で子球を育成する。
  • 順調な子球の肥大を図るには良好な陽当たりが必要であり、セルトレイは秋まき育苗と同じように間隔を開けて並べる(図1)。
  • セルトレイを利用した子球育成方法では球径が2cm程度になれば潅水を止める。

具体的データ

図1

表1

表2

表3

(佐賀県上場営農センター)

その他

  • 研究課題名: 冬季温暖地帯における畑作タマネギの1~3月どり栽培技術の確立
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2007~2010年度
  • 研究担当者: 中山 敏文、富永 慧、石橋 哲也、浦田 貴子
  • 発表論文等: 園芸学研究第9巻別冊2:181