農業環境変動研究センター

影響予測ユニット

影響予測ユニットにおける主要研究、すなわち気候変動下における日本(右上)、モンスーンアジア域(左下)および全球スケール(右下)での、さまざまな形態の農業に対する影響評価を行うこと、を模式的に示しました

将来の気候の変化や変動と、それにともなって発生する異常気象や気象災害 (干ばつや洪水など) は、農業や食料生産にどのような影響をおよぼすのでしょう。わが国の主食でありまた、地域の基幹産業でもあるコメの生産量や品質は今度とも維持できるのでしょうか?世界全体で、今後とも安定した食料の生産と供給は可能なのでしょうか?

気候変化が農業生産におよぼす影響に関する研究は、これまで主に今世紀末頃までの平均的な気温上昇や降水量変化に対する影響に重点がおかれていましたが、世界の気候変化研究を取りまとめるIPCCによれば、温暖化にともなって気候・気象の変動も大きくなる可能性が指摘されており、農業への影響を考える場合には、季節や年々の変動、あるいは台風・ハリケーンや集中豪雨、熱波などの極端現象にも着目する必要があります。特にわが国は海外から多くの食料を輸入しており、世界の食料生産変動は、貿易量や価格の変動を通してわれわれ自身の生活にも密接に関連してきます。

そこで当影響予測ユニットでは、2030~50年頃(近未来:全球気温上昇は1.5~2.0°Cを想定)および今世紀末の2090年頃(気温上昇は4.0°C程度を想定)を中心とした、わが国、アジアのモンスーン地域および世界全体を研究対象とし、評価に適した空間解像度にダウンスケールした共通気候シナリオを用いて、国内農業への影響を評価するとともに、高度化した影響評価モデルにより、グローバルな食料生産変動評価を行うこと、さらにそれらの影響を軽減する(適応)ための費用の見積り、などをミッションとした調査研究を行っています。そして、そのミッションを達成するために大きく3つの研究、すなわち
(1)共通利用のための気候シナリオのダウンスケーリング
(2)わが国のコメ生産と品質に対する影響予測
(3)グローバルな環境変動の実態把握と食料問題軽減のための方策提示
を行います。具体的には、地域的な気候の将来予測とその不確実性に関する研究(図左上)をもとに、実際の水田における高温試験結果なども踏まえた生育モデルによる日本のコメ生産予測(図右上)、モンスーンアジア域における、牧畜なども含み家族・地域経営を核とする粗放的農業への影響(図左下)、および世界で大規模に行われる穀物生産の変動評価(図右下)など、地球上の多種多様な農業への影響を予測するための調査研究です。


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