農業環境変動研究センター

外来生物影響評価ユニット

左)利水施設の壁に付着するカワヒバリガイ 中)遺伝子組換えダイズとの交雑が懸念されるツルマメ 右)採草地から拡散するチモシーなどの外来牧草

近年、海外から導入した外来生物や、輸入農産物や食品原料等に混入して侵入した外来生物が、わが国の生物多様性に脅威を与えています。生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来生物を適正に管理すること、また、既に定着して被害を及ぼしている外来生物の防除を促進することは待ったなしの課題です。外来生物影響評価ユニットでは、以下に述べる3つの観点から、外来生物の影響評価や対策技術の開発に取り組んでいます。

1.特定外来生物カワヒバリガイのモニタリング手法と被害緩和策の開発
カワヒバリガイは中国原産の付着性二枚貝で、関東、中部、東海地方において定着が確認されている外来生物です。カワヒバリガイは、生態系への影響はもとより、農業利水施設の通水障害等の原因ともなっており、規制・防除の対象となる特定外来生物に指定されています。この研究では、カワヒバリガイの分散を抑制し、防除を推進するために、各種モニタリング手法を開発するとともに、対策技術や関連情報を取りまとめ、利水施設を管理する機関への普及を目指しています。

2.外来牧草の適正利用のための便益・リスク評価手法の開発
自給飼料の生産を目的として導入された外来牧草は、それらが栽培される飼料畑から非農耕地環境へ拡散し、在来の生態系を改変することがないよう、適切な管理が必要な外来種(産業管理外来種)として位置づけられています。現状では、同程度の経済効果の得られる在来種への切り替えが難しいことから、外来牧草を適正に利用しつつ、生態系への影響を最小限に止める必要があります。この研究では、外来牧草の利用による便益とリスクを総合的に評価する手法を開発し、これに基づく適正管理の指針を明確にすることにより、営農活動と生態系の保全の両立を目指しています。

3.遺伝子組換え作物の生物多様性影響評価と非組換え作物との共存のための手法開発
外来牧草と同様に、遺伝子組換え作物の栽培や運搬の際に、それらが非農耕地環境へ拡散し、在来の生態系に影響を及ぼす可能性が懸念されています。とりわけ、遺伝子組換えダイズについては、近縁の野生種(ツルマメ)と交雑する可能性や、雑種個体を摂食する非標的昆虫への影響が指摘されています。この研究では、遺伝子組換えダイズについて、ツルマメとの交雑リスクや、雑種個体が非農耕地環境において個体群を形成する可能性を評価するとともに、地域内で遺伝子組換え作物と同種の非組換え作物の共存を図るための手法を開発しています。


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