農業環境変動研究センター

水質影響評価ユニット

農地土壌及び農業流域における窒素の物質循環過程の概要

当ユニットでは、農業生態系における物質循環の「要」である農地土壌を主な研究対象として、農地土壌~農業流域における水、炭素、窒素、放射性セシウム等の物質循環過程の実態把握と、それに基づくメカニズム解明、数理モデル化・簡易指標化及びシナリオ分析を中心とした研究を進めています。

1. 農地土壌における水・炭素・窒素動態予測モデルの開発
環境保全型農業推進のため、化学肥料低減と有機物資源の有効活用が期待されますが、堆肥等の連用は土壌炭素蓄積等の利点と窒素流出負荷等の欠点を併せ持ちます。このトレード・オフを定量的に評価するため、様々な土壌・気象・肥培管理条件下の農地土壌中における水・炭素・窒素の動態や相互作用を圃場~流域レベルで数理モデル化し、窒素負荷軽減策を提示するための研究を進めています。

2 農地土壌~農業流域における窒素動態解析手法の開発
農地土壌へは化学肥料や堆肥等、様々な形態の窒素が施用されますが、系外への窒素負荷に占める起源別の寄与率や、脱窒による窒素除去等については不明な点が多く、圃場~流域レベルでの定量的解析手法の開発が必要です。水田流域や農畜産業地帯を対象に、土壌、地下水、河川水中の窒素安定同位体比等を測定し、窒素の起源や除去等の定量的な解析手法を開発しています。

3. 農業流域における水質予測モデルの開発
公共用水域における全窒素濃度等の水質管理のためには、多様なシナリオ(土地利用、人口、肥培管理等の変化)での河川水中窒素濃度を簡便に予測できる汎用的な流域水質予測モデルが必要です。国内の主な河川を対象に、土地利用等の地理情報システム(GIS)データに基づく流域モデルを適用し、窒素負荷予測に必要な経験的パラメータの推定・解析等を進めています。

4. 簡易な窒素負荷指標の開発
地球規模での喫緊の課題である窒素負荷削減を様々なスケールで進めるため、有機物再利用や水田での脱窒・循環灌漑等を反映した新たな窒素負荷指標(窒素フットプリント)を開発し、圃場~流域~国レベルでの窒素負荷軽減策を提示するための研究を進めています。

5. 放射性セシウムの動態解明と作物への移行予測モデルの開発
原発事故由来の放射性セシウムを含む農地土壌及び農業流域における安全かつ持続的な作物生産のため、農業環境中における放射性セシウムの動態解明や、農地土壌から作物への放射性セシウム移行予測モデル開発等の研究を行っています。


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