農業環境変動研究センター

広域循環評価ユニット

窒素カスケード:形態を変えつつ環境を巡る窒素がもたらす多様な問題

温暖化対策の推進には温室効果ガス発生量の正確な評価が不可欠であり、日本国温室効果ガス排出インベントリの農業分野の精緻化が求められています。当ユニットでは、温室効果ガス排出・吸収量の全国評価に資する活動量情報の精緻化の観点から、食料生産・消費における物質フローの解析を進める。また、温暖化を含む多様な環境問題に関与する人為的な窒素負荷のうち、特に食料生産・消費を巡る窒素負荷について消費者や行政担当者にわかりやすい指標開発を行い、さらに、炭素・窒素循環の将来予測精度の向上に資するために炭素・窒素循環の生物地球化学プロセスの未知のメカニズム解明に取り組んでいます。研究成果は日本国政府による温室効果ガス削減目標の設定とその実行に寄与するとともに、OECDなどの国際機関による関連活動への貢献を通じて我が国のプレゼンスや国際貢献の向上に寄与します。主な研究テーマは以下の3項目です。

(1)活動量精緻化:食に関する人間圏物質フロー
食料生産・消費における物質フロー(特に窒素および有機物)の情報収集を行い、活動量情報の精緻化を図ります。人間圏のフローに加えて循環の各過程における環境媒体および生態系への負荷の評価も行います。
(2)指標開発:窒素負荷のわかりやすい評価
食料生産・消費に伴う窒素負荷は、一酸化二窒素の発生ポテンシャルを通じて地球温暖化においても重視すべき問題です。また、多様な環境問題に深く関与する窒素負荷の包括的管理を効果的に行うには、食料生産・消費の両面から実態を把握しやすい指標が有効です。そこで、窒素フットプリントなどの窒素負荷の有望な評価指標の改良を行います。
(3)プロセス解明:炭素・窒素の未知過程とその環境変動応答
農業生態系における炭素・窒素の生物地球化学プロセスに着目し、これらの未知および高CO2や気候変動などの環境変動への応答の解明に取り組みます。地球システムの一部である農業生態系の変化は他の生態系に影響を及ぼし、逆もまた然りです。多様な生態系から得られる物質循環の知見は農業生態系の物質循環研究にも貴重なものです。よって、特に環境変動に対する脆弱性が危惧される生態系における物質循環研究も大切です。


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