農業環境変動研究センター

物質変換解析ユニット

農耕地では窒素肥料の投入により、硝化菌や脱窒菌などの活動が活発になり、温室効果ガスN2Oの発生量が増加する。

地球温暖化対策の推進には、温室効果ガス発生要因の解明と発生量の正確な調査が不可欠であり、特に農業分野における温室効果ガス排出の精緻な計測・評価が求められています。また、温室効果ガス排出量の削減には、これまでに開発された温暖化緩和技術を評価し、農業生産現場に普及・定着させるとともに、さらに効果的かつ実用的な緩和技術の開発が求められています。我々、物質変換解析ユニットは、これらの課題を解決するため、
1.農業生態系における窒素・炭素循環の重要な担い手であり、強力な温室効果ガスの一種である一酸化二窒素 (N2O) の生成・消費に密接に関与する土壌微生物のはたらきに着目し、これら微生物の生態および機能の調査、ならびに環境変動に対応した窒素化合物の代謝過程の解明に取り組みます。具体的には、畑地、樹園地など農業生産現場におけるN2Oの発生状況やその動態を調査するとともに、N2O発生に関与し、土壌中の窒素成分の変化を引き起こす土壌微生物(硝化菌、脱窒菌など)の生態およびそれらの窒素代謝機能を、栽培作物や農耕地土壌との相互作用の面から解明していきます(図)。
2.水田、畑、草地、樹園地など、温室効果ガス発生との関連性が高い農業体系において、メタン、N2Oなどの温室効果ガスの発生削減に向けて開発された技術を、関連する土壌微生物の動態面から解析・評価し、普及に結びつけるとともに、農業現場の強靭化を促進する新たな温暖化緩和技術の開発・実証を行います。
それ以外にも、我々は飼料イネなど非食用バイオマスを用いて農業地域で簡便にバイオ燃料を生産する技術や、バイオエタノールなどのバイオマス発酵資材を用いて農耕地土壌中の病害虫の被害を軽減する土壌還元消毒技術の開発、農業用被覆資材である生分解性マルチフィルムを簡易かつ迅速に分解する酵素資材の評価などを行い、農業地域での物質循環を促進する技術開発を進めていく予定です。


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