農業環境変動研究センター

循環機能利用ユニット

1 cm × 1 cmの市販農業用フィルム片を酵素処理した様子

循環機能利用ユニットでは、農地に生息する生物やそれらが作る酵素の働きを明らかにし、持続的な農業生産のために利用する研究を進めています。現在は主に、微生物由来の酵素を用いて、使用済みの農業用生分解性マルチフィルムを速やかに分解する方法の開発を行っています。

畑の表面を覆う農業用マルチフィルム(マルチ)は、地温や水分を維持する効果と、雑草や害虫、作物の病気の発生を抑える効果があり、野菜の栽培に欠かせません。しかし、野菜の収穫後には、使用済みマルチを畑から回収し、土を取り除いて産業廃棄物として処理する重労働が待っています。生分解性プラスチック(生プラ)で作られたマルチを用いると、収穫後に畑にマルチをすき込めば、土壌微生物が完全分解するので、回収する労力が要らず、ゴミが出ません。ところが、作物を栽培する環境条件は多様であるため、作物収穫後に、生プラマルチがすき込みできるほど劣化していない場合があり、普及上の課題でした。そこで、循環機能利用ユニット では、使い手自身が酵素を用いて、使用済み生プラマルチを急速劣化させるための酵素剤の開発に取り組んでいます。使い手がマルチの分解時期を決めることができるので、作付けの計画も立てやすくなります。

今までに、植物常在菌の中に生プラ分解力が高い株がたくさんいることを見つけました。これらのうち、日本国内のほとんどのイネに生息している酵母(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/press/080310/press080310.html ) や、オオムギから見つかった珍しい糸状菌 (http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/press/081022/press081022.html ) などを強力な分解菌として選びました。そこで、これらの酵素が生プラフィルムを分解する仕組みを明らかにするとともに、生プラ分解酵素を量産するために、培養の工夫(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/result/result30/result30_46.html)や、菌株の育種を進めています。また、調製した生プラ分解酵素を用いて、使用済み生プラマルチの分解を速める処理方法の検討を進めています(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/result/result32/result32_46.pdf)。一方で、生プラマルチが、畑の土の中で分解される仕組みについても調べています(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/result/result32/result32_52.pdf)。


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