農業環境変動研究センター

無機化学物質ユニット

落水後に採取した鉄プラークを持つ水稲根の周囲におけるヒ素と鉄の分布 鉄プラーク上の方が土壌よりもヒ酸存在割合が高く、酸化が早くすすんでいました。水稲根のまわりの鉄プラークは、ヒ素を蓄積し、落水後の酸化によるヒ素の不溶化を促進すると考えられます。

土壌には、カドミウムやヒ素など、有害な無機化学物質が様々な濃度レベルで存在しています。これらは、元々存在する鉱物などに由来するものもあれば外部から負荷されたものもあります。これらの無機化学物質は、土壌溶液中に溶解して作物に吸収されるとともに、土壌を構成する各種成分と反応します。例えば、土壌コロイドの表面荷電部位へのイオン交換的な保持や、腐植などの有機物や無機成分への非常に強い吸着、難溶性化合物の生成などがあります。これらの反応はdynamic equilibrium(動的平衡状態)にあるため、有害な無機化学物質の土壌溶液中の濃度と作物への吸収移行性は、降水量、温度、耕起、施肥や湛水など人為的な影響も含めた土壌環境条件の変動によって大きく変化します。
無機化学物質研究ユニットでは、カドミウム、ヒ素、放射性セシウムなどの有害な無機化学物質の土壌環境における動態解明に関する研究を行うとともに、その知見を元に作物への移行低減技術や汚染土壌修復技術の開発を行っています。
現在の研究テーマは以下のとおりです。

・ 水管理によるコメのヒ素・カドミウム同時低減技術の開発
・ 水稲根圏におけるヒ素と鉄の相互作用とその挙動解明
・ 玄米のヒ素濃度早期予測法の開発
・ 土壌ヒ素溶出抑制資材の特性評価とその効果検証
・ カリウム施肥と窒素追肥の組合せが大豆の放射性セシウム吸収におよぼす影響の解明
・ 高放射能粒子の環境中での変質プロセスの解明


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