動物衛生研究部門

家畜における生化学病性鑑定のための臨床生化学的検査マニュアル

VII. 3. HPLCによる飼料中の脂溶性ビタミンの測定

測定原理

基本的には生体材料と同じだが、水酸化カリウムを加えることによるけん化の操作が加わる。

参考 日本ビタミン学会編:ビタミン学実験法(I)

目次

1.準備物

(1) 器具・機械

  • HPLC
  • ボルテックスミキサー
  • 50ml共栓付試験管
  • 10ml共栓付褐色試験管
  • ヒートブロック
  • ロータリーエバポレーター

(2)試薬

  • 水酸化カリウム(KOH)
  • エタノール
  • n-ヘキサン
  • イソプロパノール
  • N2ガス
  • ピロガロール
  • メタノール
  • 硫酸ナトリウム(Na2SO4)
  • クロロホルム

(3)標準液

  • α-トコフェロール
  • β-カロテン

2.試薬調整法

α-トコフェロール標準液:生体材料の脂溶性ビタミンの測定参照

β-カロテン標準液:生体材料の脂溶性ビタミンの測定参照

6%ピロガロール-エタノール

  • ピロガロール6gをエタノールに溶解し、100mlにメスアップする。

60%KOH

  • KOH60gにD.Wを加え、100mlにメスアップする。

3.操作手順

(1)サンプル処理

  • サイレージ1gを50ml共栓付試験管にはかりとる。
  • 6%ピロガロール-エタノールを6.6ml加える。
  • 60%KOHを1.6ml加える。
  • 70°C15分加温する。
  • 放冷後、D.W15mlを加える。
  • n-ヘキサン15mlを加える。
  • 30秒激しく混和する。
  • 30分静置し、水層とヘキサン層を分離させる。
  • 100ml容ナスフラスコにヘキサン層を移す。
  • 6.から9.を2回繰り返す。
  • ナスフラスコにNa2SO4を薬さじ2杯程度加える。
  • 4°Cで一晩静置し、脱水する。
  • ろ紙でヘキサンをろ過し、新しいナスフラスコに移す。
  • ヘキサンでとも洗いを2回する。
  • 40°C温浴中でロータリーエバポレーターで濃縮する。
  • 1ml程度に濃縮されたら褐色試験管に移す。
  • ナスフラスコをとも洗いし、褐色試験管に移す。
  • N2気流中でヘキサンを蒸発させる。
  • イソプロパノール1mlを加え、再溶解する。温めると溶媒が蒸発して濃度が変わるので氷上に置く。
  • 20μlをカラムに注入する。
(1) 共栓付50ml試験管に試料を約1gはかりとる。 (2) 6%ピロガロール-エタノールを6.6ml加える。
共栓付 ピロガロール
(3) 60%KOH1.6mlを加え、70°Cのウォーターバスで15分間加温する。 (4) 放冷後、D.W15mlとn-ヘキサン15mlを加え、30秒間激しく混和する。
60% 放冷後
(5) 30分静置して分離したヘキサン層を100ml容ナスフラスコに移す。 (6) ナスフラスコにNa2SO4を加え、4°Cで一晩脱水する。
30分静置 ナスフラスコ
(7) 濾紙で濾過後、ロータリーエバポレーターで濃縮する。 (8) 褐色試験管に移し、N2気流中でヘキサンを蒸発させる。
濾紙 褐色試験管
(9) イソプロパノール1mlを加え再溶解する。 (10) 20μlをHPLCに注入し、測定する。
イソプロパノール 20μl

(2) HPLCの条件

α-トコフェロール・β-カロテン
  • カラム:ODS(C18)系カラム
    移動相:メタノール:DW=98:2
    流量:2ml/min
    検出:α-トコフェロール 蛍光(EX296nm, Em330nm)、紫外吸収(292nm)β-カロテン 紫外吸収(450nm)

4.補足説明

α-トコフェロール・βカロテンのクロマトグラフ

蛍光(Ex:295nm・Em330nm)
↓:α-トコフェロール
蛍光
PDA (β-カロテン450nm)
↓:β-カロテン
PDA

コーンホールクロップサイレージのクロマトグラフ

蛍光(Ex:295nm・Em330nm)
↓:α-トコフェロール
蛍光
PDA (β-カロテン450nm) PDA

移動相がメタノール100%でも可能で、その場合α-トコフェロールとβ-カロテンのリテンションタイムが速くなる。
ただし、クロマトグラフのピークの間が近くなりすぎ、正確な面積が計測できない可能性がある。

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