動物衛生研究部門

部門長室から

部門長写真

小倉 弘明
(おぐら ひろあき)

中国でのアフリカ豚コレラ発生

国際的に最重要視されている疾病であるアフリカ豚コレラが中国で発生した。
2007年の東欧での発生に端を発した流行は、徐々に発生地域が拡大・東進し、2017年にはロシアのモンゴル国境付近での発生が認められた。以前より、世界最大の養豚・豚肉消費国であり、経済発展で様々なものが流れ込む中国での発生が危惧されていたが、それが現実のものとなった。これまでの発生地域と比べ、中国は日本との人や物の交流も格段に多く緊張が高まる。農研機構では海外からウイルスを導入し、東京都小平市の動物衛生研究部門海外病研究拠点で診断体制の整備と検証を実施するとともに、感染実験も実施して得られた知見を広く防疫関係者に提供している。

中国にどのような形でウイルスが侵入したのか、まだ情報はないが、東欧では、豚の移動や野生イノシシの介在に加え、遠隔地に発生が飛び火する大きな要因として汚染豚肉や豚肉加工品残渣の豚への給与が挙げられている。海で隔てられ、それなりの社会体制ができあがっている日本でいえば、やはり懸念されるのは汚染豚肉や豚肉加工品の持ち込みか。

家畜伝染病予防法で発生国からの生体や豚肉、豚肉加工品の輸入は禁じられている。農林水産省動物検疫所では、全国の空海港で持ち込まれる肉製品の検査や持込み禁止の広報(図)、一般客の靴底消毒や畜産関係者の衣服の消毒、衛生指導を実施すると同時に、関係機関の協力も得て、外航船の厨芥(注:厨房からでる生ごみ)の陸揚げ禁止、取扱いの再確認、注意喚起も行っている。まずは水際で万全をということだが、感染症であることを考えれば、農林水産省消費・安全局動物衛生課長通知(平成30年8月3日付)にもあるとおり、豚舎立入り時の消毒や食品残渣給与時の加熱処理など感受性動物のいる生産現場での対策も徹底したい。

いずれにせよ、必要な対策は、中国をはじめ周辺国で発生している口蹄疫や豚コレラの侵入防止対策と同じだ。【新たな懸念】ではあるが、やるべきことは【新たな課題】ではない。農研機構では、ホームページの関連記事も充実させた。重要疾病の全てに通じる水際、農場での衛生対策を徹底し、万一の場合の対応を再点検する機会ともとらえ、関係者が一体となって取り組んでいければと思う。

**********************
<追記> 平成30年9月9日、平成4年以来26年ぶりに豚コレラの発生が確認された。
今回の豚コレラの発生原因、背景もいずれ明らかになってくるが、感染が拡大していないことを祈るばかりである。これまでのワクチン接種全面中止、清浄化宣言までの経過も振り返りながら、関係者が連携分担して早期の封じ込め、発生農家の経営対策等々が進められて、一日も早く清浄国に復帰できればと思う。

啓発するための広報ポスター

*こちらの画像は、動物検疫所HP(外部リンク:農林水産省動物検疫所)からもご覧頂けます。

関連リンク

【動物衛生研究部門】
疾病情報「アフリカ豚コレラ」
よくあるご質問「アフリカ豚コレラQ&A 」
家畜の監視伝染病「アフリカ豚コレラ」
家畜疾病図鑑Web「アフリカ豚コレラ」

【農林水産省】
農林水産省消費・安全局「アフリカ豚コレラについて」
消費・安全局動物衛生課長通知「中国におけるアフリカ豚コレラの発生に伴う豚及びいのししの所有者への飼養衛生管理基準遵守の再徹底について(平成30年8月3日付)」(PDF)

<農林水産省動物検疫所>
農林水産省動物検疫所トップページ
「肉製品の日本への持込みや日本からの持出し」について

2018年9月10日