生物機能利用研究部門

遺伝子組換え作物の栽培実験

平成30年度遺伝子組換えカイコの飼育管理及びモニタリング調査結果について

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、群馬県蚕糸技術センター隔離飼育区画において、遺伝子組換えカイコ(高染色性絹糸生産カイコ及び青色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ)の第一種使用等(※)による飼育を群馬県蚕糸技術センターとともに行ってきましたが、この度飼育が終了しましたので、遺伝子組換えカイコの交雑防止措置と飼育開始以降の処理等についてお知らせします。
収穫物は、今後実施予定の様々な試験に使用するため、冷凍による不活化後に繭の状態で保管しています。また、平成30年5月から12月までのモニタリング調査の結果、遺伝子組換えカイコとクワコとの交雑個体は見つからなかったことをお知らせします。
なお、当初飼育実験を予定していた橙色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ及び緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコについては実験を行いませんでした。また、橙色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコについては、平成29年度飼育に係るモニタリング調査のみ行いましたので併せてお知らせします。

※第一種使用等:「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」に基づいた開放系(本実験では隔離飼育区画)での使用等

高染色性絹糸生産カイコ

第1回飼育

  • 第一種使用等飼育開始(4齢幼虫)(平成30年5月21日(月曜日))
  • 上蔟(平成30年6月6日(水曜日))
  • 収繭(平成30年6月14日(木曜日))
  • 交雑防止措置
    • プレハブ蚕室の開閉可能な窓、戸及び換気口と、パイプハウス蚕室の内側全体に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。
  • 収穫後の処理・作業
    • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成30年6月15日(金曜日))
    • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成30年6月8日(金曜日))

第2回飼育

  • 第一種使用等飼育開始(4齢幼虫)(平成30年7月19日(木曜日))
  • 上蔟(平成30年7月30日(月曜日))
  • 収繭(平成30年8月6日(月曜日);プレハブ蚕室、
    平成30年8月7日(火曜日);パイプハウス蚕室)
  • 交雑防止措置
    • プレハブ蚕室の開閉可能な窓、戸及び換気口と、パイプハウス蚕室の内側全体に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。
  • 収穫後の処理・作業
    • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成30年8月8日(水曜日))
    • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成30年8月1日(水曜日)~8月2日(木曜日))

第3回飼育

  • 第一種使用等飼育開始(4齢幼虫)(平成30年9月12日(水曜日))
  • 上蔟(平成30年9月24日(月曜日);プレハブ蚕室、
    平成30年9月25日(火曜日);パイプハウス蚕室
  • 収繭(平成30年10月3日(水曜日))
  • 交雑防止措置
    • プレハブ蚕室の開閉可能な窓、戸及び換気口と、パイプハウス蚕室の内側全体に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。
  • 収穫後の処理・作業
    • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成30年10月5日(金曜日))
    • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成30年9月27日(木曜日))

モニタリング調査

  • モニタリング用トラップ配置期間(平成30年5月18日(金曜日)~12月13日(木曜日))
  • 本隔離飼育区画の四隅の外側に、合成した性フェロモン(ボンビコール)を誘引源として粘着板で捕獲するフェロモントラップを設置し、クワコ雄成虫を捕獲しました。
  • 調査結果
    モニタリング用トラップ配置期間中にクワコ雄成虫529頭を捕獲しました。
  • 捕獲したクワコ雄成虫のうち、複眼で緑色蛍光を発現していた個体は0頭、PCR法によって導入遺伝子(EGFP)が検出された個体は0頭で、交雑は認められませんでした。なお、平成30年度の飼育実験に係るモニタリング調査は、平成31年6月中旬から12月中旬まで実施して終了することになります。

青色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ

第1回飼育

  • 第一種使用等飼育開始(4齢幼虫)(平成30年5月21日(月曜日))
  • 上蔟(平成30年6月6日(水曜日))
  • 収繭(平成30年6月14日(木曜日))
  • 交雑防止措置
    • プレハブ蚕室の開閉可能な窓、戸及び換気口と、パイプハウス蚕室の内側全体に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。
  • 収穫後の処理・作業
    • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成30年6月15日(金曜日))
    • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成30年6月8日(金曜日))

第2回飼育

  • 第一種使用等飼育開始(4齢幼虫)(平成30年7月19日(木曜日))
  • 上蔟(平成30年7月30日(月曜日))
  • 収繭(平成30年8月6日(月曜日);プレハブ蚕室、
    平成30年8月7日(火曜日);パイプハウス蚕室)
  • 交雑防止措置
    • プレハブ蚕室の開閉可能な窓、戸及び換気口と、パイプハウス蚕室の内側全体に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。
  • 収穫後の処理・作業
    • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成30年8月8日(水曜日))
    • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成30年8月1日(水曜日)~3日(金曜日))

第3回飼育

  • 第一種使用等飼育開始(4齢幼虫)(平成30年9月12日(水曜日))
  • 上蔟(平成30年9月24日(月曜日);プレハブ蚕室、
    平成30年9月25日(火曜日);パイプハウス蚕室
  • 収繭(平成30年10月2日(火曜日)~3日(水曜日);プレハブ蚕室、
    平成30年10月3日(水曜日)~4日(木曜日);パイプハウス蚕室)
  • 交雑防止措置
    • プレハブ蚕室の開閉可能な窓、戸及び換気口と、パイプハウス蚕室の内側全体に網を張って、クワコ成虫の侵入を防止しました。
  • 収穫後の処理・作業
    • 収穫した繭(蛹)は、冷凍によりすみやかに不活化しました。(平成30年10月5日(金曜日))
    • 飼育終了後に残るクワの枝等の残渣は、蚕室内で遺伝子組換えカイコを取り除いた上で、隔離飼育区画内の残渣処理室で粉砕処理により不活化しました。(平成30年9月26日(水曜日)~27日(木曜日)

モニタリング調査

  • モニタリング用トラップ配置期間(平成30年5月18日(金曜日)~12月13日(木曜日))
  • 本隔離飼育区画の四隅の外側に、合成した性フェロモン(ボンビコール)を誘引源として粘着板で捕獲するフェロモントラップを設置し、クワコ雄成虫を捕獲しました。
  • 調査結果
    モニタリング用トラップ配置期間中にクワコ雄成虫529頭を捕獲しました。
  • 捕獲したクワコ雄成虫のうち、PCR法によって導入遺伝子(HC-Sirius)が検出された個体は0頭で、交雑は認められませんでした。なお、平成30年度の飼育実験に係るモニタリング調査は、平成31年6月中旬から12月中旬まで実施して終了することになります。

橙色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ

  • 平成30年度は飼育実験を行わず、モニタリング調査のみを行いました。

モニタリング調査

  • モニタリング用トラップ配置期間(平成30年5月18日(金曜日)~12月13日(木曜日))
  • 本隔離飼育区画の四隅の外側に、合成した性フェロモン(ボンビコール)を誘引源として粘着板で捕獲するフェロモントラップを設置し、クワコ雄成虫を捕獲しました。
  • 調査結果
    平成30年5月18日以降、平成30年12月13日までにクワコ雄成虫529頭を捕獲しました。
  • 捕獲したクワコ雄成虫のうち、複眼で緑色蛍光を発現していた個体は0頭、PCR法によって導入遺伝子(mKO及びEGFP)の保有の有無を確認した結果、導入遺伝子保有の個体も0頭で、交雑は認められませんでした。

緑色蛍光タンパク質含有絹糸生産カイコ

  • 平成30年度の飼育実験は実施しませんでした。