生物機能利用研究部門

絹糸昆虫高度利用研究領域

我々は、カイコやミノムシなどの糸をつくる「絹糸昆虫」の利用による新たな生物産業の創出を目指しています。これまでに、日本発の技術としてカイコの遺伝子組換え技術を開発し、組換えカイコ(図左:蛍光を発するカイコと繭)で生産した診断薬や化粧品の原料は一部実用化され、蛍光シルクなどの養蚕農家での生産も始まりました。また、シルクへの機能付加や、素材として使える形にシルクを成形加工する技術の開発とともに、ミノムシのシルク(図右)がクモ糸を凌駕する強さをもつことを明らかにするなど、シルク新素材の開発を進めてきました。

しかし、有用タンパク質生産に関しては連携企業から更なる生産性向上が求められており、また養蚕農家での新機能シルクの生産は伸び悩んでおり需要拡大が課題で、また、ミノムシシルクなどは量の確保と生産コスト削減が課題です。

そこで我々は、カイコによる有用タンパク質の生産性を向上させる基盤技術を開発し、企業と連携して動物用医薬品原薬などを生産するとともに、世界一細く、かつ染色しやすい超極細(高染色性)シルクをつくるカイコを養蚕農家で普及させるための要素技術を開発し、組換えシルクが製品化されることを目指します。さらに、シルク新素材の開発と、それらを低コストで大量生産できる技術を開発し、実用化を目指します。

領域長

瀬筒 秀樹 (せづつ ひでき)

所属研究グループ