生物機能利用研究部門

先進昆虫ゲノム改変ユニット

役割

コナガやトビイロウンカなどの農業害虫、ミツバチなどの益虫の研究に役立つ情報を主にゲノム解析を通じて提供しています。さらに、ゲノム情報を利用し遺伝子組換え技術やゲノム編集技術等によって農業生物の機能を改変(強化)する技術を開発しています。

主な研究テーマ

農業昆虫のゲノム研究及びゲノムデータベースの開発

害虫防除は農作物の安定供給に重要な要素の一つです。効率的で環境に優しい害虫防除法の開発に貢献するために以下の研究を行っています。
・農業害虫の多くを占める鱗翅目昆虫のモデル生物としてカイコのゲノム情報の解読、発現遺伝子情報の獲得を進めゲノムデータベースKAIKObaseを構築し世界中に情報発信しています。
・コナガ、ウンカ類、アザミウマ類等の重要農業害虫種を主な対象として、(1)ゲノム配列解読、(2)殺虫剤抵抗性等の害虫防除において重要となる遺伝子情報の解析、(3)遺伝地図情報の作製、等に取り組んでいます。また、これらの解析データを害虫防除研究等において効率的に活用するために、ゲノムデータベースの構築・運用を行なっています。

農業昆虫ゲノムデータベースの例
左:KAIKObase
http://sgp.dna.affrc.go.jp/KAIKObase/
右:KONAGAbase
http://dbm.dna.affrc.go.jp/px/
ゲノム・遺伝子配列情報の閲覧、検索、取得が可能な公開されたゲノムデータベースです。

主な研究テーマ

重要農業害虫の殺虫剤抵抗性原因遺伝子の同定と機能解析 及び殺虫剤抵抗性遺伝子診断技術の開発

近年、殺虫剤抵抗性が発達した害虫の全国的な拡大が問題となっています。殺虫剤抵抗性害虫を効率的に防除するためには、生産現場において害虫がどの殺虫剤に対して抵抗性を示すかを正確かつ迅速にモニタリングし、適切な対応を選択可能とすることが重要です。また抵抗性発達のメカニズムそのものを解明することで新たな薬剤抵抗性発達の予測や新規薬剤開発につながることが期待されます。そこで、コナガ、ウンカ類、アザミウマ類等の重要農業害虫を対象に、(1)殺虫剤抵抗性の原因となる遺伝子の同定、(2)殺虫剤抵抗性発達メカニズムの解明、(3)殺虫剤抵抗性の遺伝子診断技術の開発等をゲノム情報を活用して行なっています。

遺伝子変異解析結果例
ゲノム情報を活用して、殺虫剤抵抗性の原因となる遺伝子上の変異を同定します。

ゲノム情報解析と分子生物学的手法を組み合わせてた殺虫剤抵抗性発達メカニズムの解明
得られた知見は新たな薬剤開発につながります(画像は一部http://g86.dbcls.jp/~togoriv/より引用)。

主な研究テーマ

ハチ目およびチョウ目昆虫の遺伝子機能の解析と遺伝子操作技術の開発

ハチ目には受粉媒介虫や寄生蜂のような有用種と栽培作物の害虫となるハバチ類など、チョウ目にはカイコのような有用種と多くの作物害虫など、農業に深く関わる種が属しています。
ゲノム情報を利用して、これらの昆虫の生殖細胞形成、発生、成長などに関与する遺伝子の機能を解析しています。また、良い形質をさらに改良したり、有害な形質を取り除いたりするために、RNAi 法による遺伝子機能の抑制(ノックダウン)やゲノム編集法を利用した遺伝子機能の停止(ノックアウト)などの遺伝子操作技術を開発しています。
得られる成果は有用昆虫の育種や生殖制御への応用が期待されます。

精子形成に関与するboule 遺伝子の機能解析
二本鎖RNA 注入による RNAi 法を用いて boule 遺伝子をノックダウンした。
(左)野生型(無処理)の♂成虫ではおびただしい数の成熟精子で貯精嚢(矢印)が白濁して見える。
(右) boule 遺伝子をノックダウンした♂成虫では成熟精子は全く作られず、貯精嚢は空になる。

ゲノム編集ツールの TALEN を利用した遺伝子ノックアウト
眼で特異的に GFP を発現する系統でTALEN法よりGFP 遺伝子の機能を停止した。
(上)GFP 系統では眼全体の細胞で GFPが検出される。
(下) TALENを適用したものでは、GFP 遺伝子が破壊(ノックアウト:KO)された細胞(黒い部分)がモザイク状に検出される。


メンバー

ユニット長
山本公子
上級研究員
中尾 肇畠山正統安河内祐二
主任研究員
上樂明也
研究員
横井 翔