次世代作物開発研究センター

麦類形質評価ユニット

大麦品種「アズマムギ」(左)が穂発芽しにくいのは、MKK3遺伝子に起こった自然変異が原因であることを明らかにしました。

麦類形質評価ユニットは小麦と大麦について品質・加工適性および障害(穂発芽や病害)抵抗性に関する研究を行っています。
小麦粉の成分のうちで、澱粉は最も大きな部分を占め、澱粉の一種であるアミロースの含有量は品質特性、加工適性や製品の食感に関わります。そこで、アミロース合成酵素の遺伝変異について解析し、含有量を遺伝的にコントロールすることに取り組んでいます。また、小麦粉の色は加工製品である麺などの色に影響します。そこで、小麦粉色の良否を決める原因を穀粒の特性と製粉工程に着目して調べています。以上のように、小麦粉品質向上の研究を試みています。一方、大麦穀粒は食物繊維であるβ―グルカンをはじめとする健康機能性成分を含んでいます。β―グルカンの多い品種であるビューファイバーなどを用いて、加工性や機能性成分の変動などを調べ、利用性を明らかにしようとしています。この研究により、新しい成分特性を持つ大麦品種の需要拡大につながります。
小麦や大麦は梅雨の頃に収穫されます。穂発芽とは収穫前に、種子が穂についた状態で降雨によって発芽する現象です。穂発芽がおこると、収穫量が減少するだけでなく、澱粉やタンパク質が分解しているので品質も低下します。すなわち、麦にとって穂発芽しにくいことは重要な特性です。そこで、穂発芽に対する耐性を強化するために、耐性遺伝子の特定、突然変異の誘発と遺伝子の集積、さらに遺伝子改変の研究を進めています。土壌伝染性である小麦萎縮病はウイルスによって引き起こされ、有効な薬剤が知られていません。罹病株は春先から萎縮症状を示し、収穫量が減少することもあります。品種の持つ抵抗性が有効な対策となっているため、多くの小麦品種を用いて萎縮病抵抗性の解析に取り組んでいます。


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