果樹茶業研究部門

育成品種紹介

さんさ

リンゴ品種「さんさ」は、育成地(岩手県盛岡市)では9月上旬が熟期となり、「つがる」より5~7日程度早いです。早生品種としては食味が優れており、この時期の品種としては鮮度保持期間が長い(冷蔵で1ヵ月以上)です。夏に成熟するリンゴであることから、盛岡の夏祭「さんさ踊り」の軽快さを連想して「さんさ」と命名されました。

主要特性

  • 果実の大きさは200~250gでやや小さく、果形は円錐形、果面は紅色~鮮紅色に着色し、美麗です。ていあ部にさびが発生しますが、無袋栽培でほとんど問題になりません。糖度は、13~14%、リンゴ酸は0.4%程度をしめし、甘酸適和で、早生品種としては食味が優れています。
  • 果肉の色は白色で、硬さは中程度、肉質はち密です。果汁が多く、芳香を有し、果実の鮮度保持期間は、冷蔵で1ヵ月以上あります。
  • 木は比較的大きくなりますが、葉にシロロシスを生じ樹勢はやや弱いです。
  • 病害虫の被害は特に問題は無く、黒星病や斑点落葉病、赤星病にたいしては強いほうに属します。
  • 樹は比較的大きくなりますが、葉に生理的クロロシスを生じ、樹勢はやや弱いです。主要病害である黒星病、赤星病、斑点落葉病に対して抵抗性です。

「さんさ」の結実状況

図 「さんさ」の結実状況
出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
2023
(1986年9月 2日)
1900年1月 1日 1565
(1988年3月 5日)
18
(満了日:2006年3月 6日)
交配組み合わせ 旧系統名
ガラ×あかね リンゴ盛岡42号

栽培適地

リンゴ栽培地帯全域に向くが、特に早生品種の栽培比率の高い温暖地においては優良品種となる可能性があります。

農林認定品種(旧:命名登録品種)

登録番号:りんご農林7号

登録年月日:1986年10月31日

育成担当者

吉田義雄、羽生田忠敬、土屋七郎、真田哲朗、増田哲男、別所英男、D.W.マッケンジー

発表論文

果樹試験場報告. C, 盛岡, 15号, p.1-12(1988-03) : リンゴ新品種'さんさ'について

園芸学会昭和62年度春季大会研究発表要旨, p.168-169 (1987) : リンゴの新品種"さんさ"について