畜産研究部門

代謝・微生物ユニット

ルーメン内に生息しているルーメン微生物。いろいろな細菌が飼料を分解していますが、この分解作用(ルーメン発酵)が乱れると牛の生産性が低下します。

牛などの反すう家畜が摂取した飼料は、消化菅内で消化され、栄養素として体内に吸収されて、乳肉の生産や乳肉生産の基盤となる生体の恒常性維持のために利用されます。反すう家畜の恒常性維持は神経やホルモンなどで複雑に制御されていることから、体内に吸収された栄養素をうまく調節すれば、家畜を健康に保ちながら、高い生産性を目指すことができます。また、反すう家畜の第一胃(ルーメン)には多種多様な微生物が生息していて、互いに密接に関係しながら、ルーメン微生物生態系を形成しています。このルーメン微生物生態系は、その発酵作用(ルーメン発酵)により飼料の主成分である植物組織の分解や微生物態タンパク質の合成を行い、反すう家畜に栄養素を供給する役割を果たしています。ルーメン発酵がきちんと維持されることで反すう家畜へ十分な栄養素が供給され、反すう家畜の能力を十分に発揮させることができます。したがって、反すう家畜の生体内の恒常性やルーメン発酵を適切に維持管理することは、反すう家畜の生産性を確保する上で重要なことです。しかし、時として生体内の恒常性やルーメン発酵が乱れ、反すう家畜の生産性が低下することがあります。さらに、ルーメン発酵の乱れが生体内の恒常性に影響を与えることも指摘されています。このような生産性の阻害要因を低減し、生産性の低下を防ぐことを目指し、以下のような研究に取り組んでいます。

  • 飼料(質や量)に対する牛の生体反応は個々の牛で異なるので、個体の恒常性についての生体データ(血液成分、ホルモン、乳量、乳成分など)やルーメン発酵についてのデータ(pH、短鎖脂肪酸組成など)のモニタリング。
  • モニタリングした個々のデータの分析と相互関係の解析による生産阻害要因の低減。

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