畜産研究部門

草地機能ユニット

草地における温暖化効果ガスの測定風景

草地機能ユニットでは、草地生態系サービス関連研究を中心に、様々な研究を行っています。

1.温室効果ガスの影響解明
草地生態系は、温室効果ガスであるメタン、二酸化炭素、一酸化二窒素の吸収源や排出源として機能しています。草地生態系における温室効果ガス発生量の見積もりを精緻化するには、草地植生、草地更新、放牧、堆肥散布、施用有機物の質・量など草地管理と温室効果ガスの吸収量・発生量の関係を調べ、時間・空間スケールでフラックスの変動メカニズムを解明する必要があります。草地機能ユニットでは、温室効果ガスの発生量が少ない草地管理法を提示し、温室効果ガス発生量の削減効果を適切に評価することを目標に研究を進めています。

2.温暖化にともなう草地の生産量や適草種の変動予測
耕作放棄地や大規模な低未利用地を畜産利用できる牧草地として活用するために、ニューラルネットワークを用いて各牧草の収量予測モデルを作成し、3次メッシュレベル(約1km×1km)でデータベース化・可視化します。また、今後予想される気候の温暖化シナリオに基づき、牧草生産量と生育適地の変動予測をおこないます。

3.生物多様性と生態系サービスの評価
グローバリズムの進展や人口減少等の社会情勢の変化に伴う農業環境の変化が、わが国の生物多様性や生態系サービスに及ぼす影響が懸念されています。草地生態系は、人工草地から半自然草地まで集約傾度に従い様々な形態が存在します。そこで、集約度の違いが草地の持つ生物多様性や生態系サービスに与える影響を解明・評価し、豊かな生物多様性や生態系サービスを活かした畜産を実現するために必要な草地利用・管理法を検討します。

4.草地の放射能汚染対策技術の開発
2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射性物質に汚染された草地の利用再開のために、研究と技術開発を行っています。草地の除染方法、養分吸収においてセシウムと競合関係にあるカリウムの増施、セシウムの吸収抑制に寄与する資材の利用等による、土壌から牧草への放射性セシウムの移行低減について検討し、安全な牧草の生産に寄与できる技術の確立を目指します。


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