農村工学研究部門

農村工学研究部門メールマガジン

メールマガジン創刊号(2010年4月号)

目次

1)トピックス

●これからの時代に求められる技術図書を発行

農工研の研究者が集まり、編集委員会を組織し、10年先の農業・農村の将来像について様々なアイデアを持ち寄り、価値観を変える明日の生命と地球のための技術『グリーン・イノベーション』という本にまとめました。

新しい技術の内容や方向を理解する一助となるよう、関係する研究者や技術者に限らず、一般の方々にも読んでいただきたい。本日4月30日に、(財)農林統計協会から出版されます。読後の感想や意見をお待ちしています。

※詳細は、以下のURLをご覧下さい。
http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm01-01-01.pdf

●石川県のため池災害現場に職員2名を派遣

4月13日の早朝に、石川県のM池が決壊しました。石川県農林水産部から、被災したため池の応急処置と原因究明に係る技術支援の要請があり、翌14日に施設資源部土質研究室の職員2名(松島、有吉)を現地に派遣しました。

石川県及び関係自治体職員の立会いの下、当所の職員は、これまで蓄積した知見を踏まえ、決壊したため池の応急措置を指示し、被災原因を推定した上で復旧工事のポイントを助言しました。

2)農村工学研究所の動き

●農村工学研究所運営委員会の開催

平成22年4月19日に、平成21年度の業務運営及び研究活動実績について評価を受けるため、運営委員会を開催しました。運営委員は、灌漑排水学、法社会学、地域環境工学、施設管理及び広報・情報の専門家5名で構成されています。

委員から、「人口減が進み経済発展が見込めない中で、農業・農村の安全と安心に対する明確なイメージを持って研究計画を構想すること」、「年間約400件対応している技術相談への取り組みをさらに強化し、それを研究活動として正当に評価すること」、「情報発信の媒体として地方紙をもっと活用すること」等の指導をいただきました。

農工研は、平成18年度に、農研機構を構成する一つの内部研究所となりましたが、独自に外部評価を受ける仕組みを存置し、運営委員の意見を業務運営の改善に役立てています。

●農村工学基礎技術研修を5月10日に開講

農工研では、農村工学に関わる業務に従事する全国各地の技術者を対象に、16コース(定員約540名)を主催する他、依頼を受けた研修を実施する予定です。

基礎技術研修の対象者は、大卒で現場経験1年程度、もしくは、高卒で現場経験2年程度の国及び都道府県等の技術者です。受講生21名は、7月2日までの8週間に、37のプログラムを272時間かけて学びます。研修期間内に5回の確認テストがあり、研修の段階に応じて受講生の達成度を測定します。

●平成22年度一般公開(4月16、17日)を開催

今年度の一般公開は、科学技術週間である16日(金曜日)と17日(土曜日)の2日間開催しました。この時期は毎年天候に恵まれないのですが、今年も天気が悪く、17日は雪が降ると言う最悪のコンディションでした。そんな状況でしたが、全職員が一丸となって取り組んだこともあり、昨年初めて越えた2千人をキープすることができました。

※詳細は、以下のURLをご覧下さい。
http://www.naro.affrc.go.jp//publicity_report/pr_report/laboratory/nkk/028347.html

3)新しい技術や研究成果の紹介

●水膜振動を防止する技術の開発

広い範囲の農地に農業用水を届けるためには、なるべく高い位置で取水を行うのが有利です。そのため、農業用の堰では、河川の流水をゲートで一時的に堰上げ、河川の水位を取水に十分な高さまで上昇させます。このとき、ゲートの下流側では、必然的に放流による騒音が発生します。

騒音は、放流水がコンクリート面に叩きつけられたり、水のカーテン(水膜)となって振動することにより生じます。ここで、後者の低周波騒音は、建具等のがたつきや人に不快感を与えるものです。水源施設水理研究室では、確実に水膜振動を防止するため、模型実験を重ねて新しいゲート上部構造を開発し、特許を出願しました。

施設資源部 水源施設水理研究室 高木強治

4)最新の「農工研ニュース」より

●地すべり移動量観測の精度向上技術

農地で地すべりが発生した時に、地面の移動を正確に効率良く把握するため、GPS(全地球測位システム)が利用されています。地すべりの移動は、年間数cm 程度の緩慢なものがあり、GPSには高い精度が要求されます。

ただし、GPSは、観測点上空の水分量の季節変化を受け、年間数cmという大きな測位誤差を生むことがあります。このような誤差の影響を低減するため、新しい気象補正方法を提案しました。

施設資源部 基礎地盤研究室長 中里裕臣

http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm01-04-01.pdf

5)研究チーム・研究室等のご紹介

◇農村総合研究部地球温暖化対策研究チ-ム

地球温暖化は、今では世界共通の問題として認識され、多方面で取り組みがなされています。農業や農村についても、例えば、農業用水不足や洪水、排水不良や高潮被害、高温障害など、様々な影響を受けることが予想されています。

当チームでは、農業生産に欠かすことのできない「水」に着目し、農業用水や洪水、地下水資源、低平地排水への影響を評価し、これらの影響を軽減するための適応策の研究を実施しています。

6)メッセージ

◇所長(農研機構理事)より創刊のご挨拶

「農村工学研究所メールマガジン」を創刊しました。これまでホームページの充実に努めて参りましたが、訪問者からの反応が感じ取れない、研究成果等の情報はもっともっと活用していただけるのではないか、イベント情報をもっと多くの方に届けたいなどと考えていました。そしてこの度、こちらから情報を押し売り(無料配信ですが)しようと決めました。

予め登録いただいた方々に、これから毎月末に配信して参ります。農工研関連の最新のトピックス、新しい技術や研究成果の紹介、農工研の特許などの技術移転情報、各種イベント情報のほか、読者からの技術相談やご意見もそれにお答えする形で紹介しながら、読者の皆さんと相互交流できるメルマガをめざしたいと思います。周囲の方々に受信者登録をお勧め下さい。

親しみを感じていただくために自己紹介します。私は1949年兵庫県篠山生まれ、体重110kg、専門は同位体水文学、趣味は剣道です。ぜひ手始めにホームページの挨拶を覗いてください。

農村工学研究所長 小前隆美

7)水土里のささやき

<石川県農林水産部 佐藤 様>

今回、ため池調査ではお世話になりました。その他最近の本県との関わりを顧みると、平成14年富来町笹波地区、19年能登半島地震、20年~避難シミュレーションシステムなど累次にわたり助けていただいています。

災害時、農工研の機動力、これは大変頼りになります。そして、そのことによって培われたノウハウはかけがえのないモノです。生々しい被災直後を直に見て、蓄積し、その事例数が他に追随を許さない、このことが我々が頼りにしている本音の所です。個々の研究者の努力というだけでなく、指導者層と若手のリレー体制がうまく機能していることも適確な助言の源泉になっているのではないかと拝察しています。

農村の振興という政策目的を達成するため、行政施策を支援し、現場で活用できる実用重視の研究開発を先導する優れた技術者集団として、これからも頼りにしています。

<防災研究調整役 木下>

農研機構(農工研)は、災害対策基本法に基づく指定公共機関として、被災現場からの技術支援要請には、常に機動的に対応しています。今後とも役に立つ研究所として頼られるように、組織一体となって技術力を磨いて参ります。

(関連情報)http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm01-07-01.pdf

8)その他

◇「みどりの式典」に農工研職員2名が参列

平成22年4月23日に、第4回みどりの式典が開催されました。5月4日の「みどりの日」にちなんだもので、植物などに関する学術研究に功績のあった学者2名に「みどりの学術賞」、地域の緑化推進に功労があった個人3名、10団体に内閣総理大臣表彰が授与されました。

式典には、天皇皇后両陛下、内閣総理大臣、農林水産大臣、衆参両議院議長、最高裁判所長官等が出席。農工研からは、日本農業工学会を代表して農地・水資源部の中部長と農業施設学会を代表して農村総合研究部の佐瀬上席研究員が参列しました。

9)編集後記

明日から5月だと言うのに、朝夕はちょっと肌寒い日が続いています。やっと、念願の農工研メルマガ創刊号を配信する運びとなりました。本番を前にメルマガ編集体制を一新し、皆様に役立つ情報を毎月末にお届けします。

【編集発行】

〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
企画管理部 情報広報課 Tel:029-838-8169