農村工学研究部門

農村工学研究部門メールマガジン

メールマガジン第17号(2011年8月号)

東日本大震災の復旧・復興支援状況については、ホームページに開設した特設サイトでお知らせしています。

目次

1)トピックス

■セシウム汚染表土の除染実験 -福島県飯舘村-

東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質で汚染された農地の除染を目的として、農工研は固化剤を用いた表土のはぎ取り工法等の現地実証試験を行いました。

8月20日に、飯舘村の試験ほ場に固化剤を散布し、表土が十分に固まった8月30日に表土のはぎ取り試験を実施しました。また、浅代かきと強制落水による水田土壌の浄化試験を8月24日に実施しました。

今後、これらの対策技術の効果を確認し、農水省に報告する予定です。

水利工学研究領域長 中達雄

(関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm17_01-01.pdf

    2)技術なんでも相談

    ■ゴム堰で改修する場合の技術的課題を教えて下さい。

    匿名希望

    ●お答えします。

    水利工学研究領域 基幹施設水理担当
    上席研究員 高木強治

    ゴム堰(ゴム引布製起伏堰)には、維持管理の容易性などのメリットがあるため、1965年頃から導入され、あちこちで見られるようになってきました。ただし、ゴム堰特有の問題があることも理解しておく必要があります。

    それは、袋体変形と堆砂の問題です。農工研で実施した水理模型実験を素材にして、2回に分けて解説していきます。

    (関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm17_02-01.pdf

      3)水土里のささやき

      ■平成23年度農村工学基礎技術研修を終えて

      5月16日~7月8日の間に、農業土木の基礎から、これからの農業農村整備のあり方まで、今後の業務に必要な多くのことを学ぶことができました。特に、水理学やコンクリートなどの実習では、今まで教科書でしか見たことのなかったことを体験でき非常に有意義でした。

      公共工事に対する世の中の見方は、必ずしも好意的なものばかりではありませんが、農業農村整備事業は生きていくのに必要な「衣食住」の中でも「食」の基盤を造るもので、人口増加が予想される世界情勢の中、必要不可欠なものです。研修生一同、農業農村整備によって食べ物に対する安心・安全を創りあげるという目標に向かって頑張っていきたいと思います。

      受講生は例年よりも少ない10人でしたが、その代わりまとまりは良く、勉強も自由時間も結束して臨めました。研修で出会った皆様とは今後とも末長くお付き合いいただきたいと思います。また、現場でわからないことがあったら、農工研の皆様に気軽に相談させていただきます。その節はご指導の程どうぞ宜しくお願い致します。

      北陸農政局 九頭竜川下流農業水利事業所 渡部学 様

      4)最新の「農工研ニュース」より

      ■強風に負けないパイプハウスをつくるために

      農業用パイプハウスは、花きや野菜栽培などの施設園芸で広く利用されています。しかし、台風などの強風により、倒壊や変形する被害は全国各地で毎年発生しています。

      その原因としては、自家労力による建設を前提としているためパイプの径が細い、耐風補強が不充分、フィルムを展張する時期の強風が増えた、風の通り道などの立地条件に加え、パイプハウスを並べて建設する際の配置に風工学的視点に基づいた基準がないことが挙げられます。

      そこで、パイプハウスが隣接している場合を想定した風洞実験を行い、強風がハウスの健全性に及ぼす影響は、ハウスの隣棟間隔によって大きく変化することを明らかにしました。

      農地基盤工学研究領域 農業施設工学担当
      主任研究員 森山英樹

      (関連資料)

      5)農村工学研究所の動き

      ■インターンシップ講習生(第一期)のつぶやき

      第一期(7月25日~8月5日)技術講習生8名が、研究業務の一部を任され、実務を体験しました。彼らが社会人になっても、農村工学分野との関わりの中で、彼らを応援していきたいと思います。感想文から一部を紹介します。

      技術移転センター 移転推進室交流チーム長 高梨典子

      (関連URL:感想)http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm17_05-01.pdf

        6)研究ウォッチ

        ■地表から地下水を捉える -二つのコイルを使う電磁探査法-

        どの深さにどのような地下水があるかを調べるには、ボーリングで地盤を掘削し、その穴で地下を観測する方法が一般的です。ただしこの方法では、掘削した場所(点)だけの情報しか得られません。

        地下水の利用可能量を把握するためには面的な調査が必要です。
        そこで、電磁探査法という非破壊の可視化技術を、地下水調査に応用することにしました。ここでは、小さな島に存在する淡水レンズと呼ばれる地下水資源を調査した事例を取り上げ、電磁探査法の仕組みなどをご紹介します。

        資源循環工学研究領域 水資源工学担当研究員 吉本周平

        (関連資料)

        7)農村の草花

        ■武家の家紋となった田んぼの雑草 -オモダカ-

        残暑の厳しい田んぼの中で、稲の間から可憐な花をのぞかせるオモダカ。水田雑草として嫌われているこの草が、古くから王朝や貴族の武具等の文様として採用され、武家の家紋としても人気があったことをご存じですか。その理由は、以下の資料でご覧下さい。

        農村基盤研究領域 資源評価担当主任研究員 嶺田拓也

        (関連資料)http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm17_07-01.pdf

          8)研究者の横顔

          ■松島健一(まつしまけんいち)

          今回紹介するのは、農工研のテニスの貴公子、施設工学研究領域土質担当の松島主研です。スポーツ万能で、どんな仕事もクールにこなし、研究成果も土のうのようにきちんと積み重ねる万能な方です。
          (他己紹介:若杉晃介)

          (自己紹介)http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm17_08-01.pdf

            【編集発行】

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            (独)農業・食品産業技術総合研究機構 農村工学研究所
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