本年も農工研メルマガをご愛読賜りますようお願い申し上げます。
東日本大震災の復旧・復興支援状況については、ホームページに開設した特設サイトでお知らせしています。
目次
- トピックス
■独立行政法人の制度・組織の見直し -閣議決定- - 新技術の紹介
■農地土壌の放射性物質除去技術 -イベントに出展- - 水土里のささやき
■ラオスの2011年洪水被害 - 最新の「農工研ニュース」より
■水路の維持管理に参加して欲しい -労力提供意欲を向上させる要因を探る- - 農村工学研究所の動き
■『東海地域の水土保全と防災シンポジウム』に講師派遣 - 研究ウォッチ
■津波越流許容型盛り土工法の水理模型実験 - こんにちは農業農村
■東ティモールの農業事情 - 農村の草花
■早春の野辺を彩るコバルトブルー -オオイヌノフグリ- - 研究者の横顔
■井上敬資(いのうえけいすけ)
1)トピックス
■独立行政法人の制度・組織の見直し -閣議決定-
1月20日に、農研機構、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所及び国際農林水産業研究センターの4法人を統合し、研究開発型の成果目標達成法人とすること、また、平成26年4月に、新たな法人制度及び組織に移行することを目指して必要な措置することなどが閣議決定されました。詳しくは以下のURLをご参照下さい。
企画管理部 情報広報課
(関連URL)
http://nkk.naro.affrc.gojp/merumaga/22/01-01.html
2)新技術の紹介
■農地土壌の放射性物質除去技術 -イベントに出展-
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により、広範囲に拡散した放射性物質が、被災地農業に大きなダメージを与えました。農工研では、汚染された農地の表土を効果的に除去する技術の開発を進め、民間業者と協力して固化剤を用いた剥ぎ取り工法などを開発しました。
開発された技術の効果は、被災地で行われた実証試験において確認され、実用化の段階に来ています。そこで、本技術をつくば国際会議場において開催された"TXテクノロジー・ショーケース in つくば 2012(平成24年1月13日開催)"で紹介しました。
イベント当日は、来場された多くの方々から熱心な質問をいただき、放射性物質の除染対策への関心の高さが窺えました。本工法を広く使っていただくため、今後、手引きなどを作成し配布して参ります。
詳細はお問い合わせ下さい。
企画管理部 研究調整役 奥島修二
(関連資料)
- 出展の模様http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_02-01.pdf
- 「実証実験に手応え」(茨城新聞2012年1月1日 転載許可記事)http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_02-02.pdf
- 新技術の説明資料http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_02-03.pdf
3)水土里のささやき
■ラオスの2011年洪水被害
日本ではタイの大洪水が大々的に報道されたようですが、ラオスでも大型の台風が次々と上陸し、大きな洪水被害を受けました。しかし、政府の援助は不十分で、かんがい施設の修復は限られており、乾季作への影響が懸念されています。現地の近況をお知らせします。
ラオス観光庁では2012年を観光年と決め、日本をはじめとする海外からの観光客を増やそうと、様々な取り組みを開始しました。もっとラオスに対する関心や知識を深めていただけると嬉しいです。
国際水管理研究所・東南アジア事務所(IWMI ラオス) 濱田浩正(農工研職員)
- (現地報告)http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_03-01.pdf
- (IWMIの紹介)http://www.iwmi.cgiar.org/index.aspx
4)最新の「農工研ニュース」より
■水路の維持管理に参加して欲しい -労力提供意欲を向上させる要因を探る-
本研究は、水路の維持管理に必要な労力が脆弱化している現状をどうすれば改善できるのか、という問題意識に基づいて取り組みました。具体的には、住民が維持管理へ参加しようと思う気持ちを「労力提供意欲」と呼び、これを向上させるために働きかける要因の選択方法を提案しました。
調査対象にした山形県S地区では、専業農家、兼業農家、非農家が混住しています。そのような中、私は「農家か非農家か」という属性の違いよりも、維持管理に「これまで十分に参加している人達か、これからもっと参加して欲しい人達か」という違いに着目してこの研究を行いました。
また、住民の参加行動には、今回取り上げた「労力提供意欲」の他にも、「労力提供能力」などの要因が影響を与えると考えられることから、その研究にも取り組み始めました。今後は、現場技術者への普及を目指して、水路の維持管理への参加を促すため、地域住民に働きかける要因の選択手法を開発したいと考えています。この研究に関心のある方はお気軽にご相談下さい。
農村基盤研究領域 事業評価担当主任研究員 鬼丸竜治
(関連資料)
農工研ニュース第76号
http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_04-01.pdf
この研究成果をもっと深く理解するための9つのQ&A
http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_04-02.pdf
活動状況写真と事例地区の概要
http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_04-03.pdf
5)農村工学研究所の動き
■『東海地域の水土保全と防災シンポジウム』に講師派遣
このシンポジウムは東海農政局が主催し、一般市民を対象にして11月15日に名古屋市で開催されました。その趣旨は、東北地方太平洋沖地震を教訓とし、東海地域の防災意識を高め、適切な防災対策を進め、想定される大災害に備えるというものでした。
シンポ事務局から講師依頼があり、復興支援プロジェクトチームの代表として当所の震災対応を指揮している毛利栄征・施設工学研究領域長を派遣しました。シンポの模様と講演者の発表資料は、次のURLからご覧いただけます。
(関連URL)
http://www.maff.go.jp/tokai/seibi/midoriforum/111115bousai.html
6)研究ウォッチ
■津波越流許容型盛り土工法の水理模型実験
東日本大震災は、海岸堤防や2線堤としての道路や鉄道の盛り土が津波の越流に耐えられなかった場合に大きな被害を招きました。そこで、農工研が開発した越流許容型ため池工法を、2線堤や3線堤に適用することを提案しています。
本工法が津波越流対策としても役立つように、様々な水理模型実験を実施しその効果を検証しています。そのうち、越流時の流況を詳細に把握する模型の製作過程と試運転の模様を紹介します。模型製作は農工研の技術専門職員が担当しました。模型改造を行いながら種々の実験を行い、新しい盛土形状を提案していく予定です。
施設工学研究領域 土質担当主任研究員 松島健一
(関連資料)
- 模型製作過程(写真:2分08秒)
- Windows : [Windows Media Player]http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_06-01.wmv
- Mac:[Quick Time]http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm22_06-01.mpg
- 水理模型実験(動画:1分54秒)
- Windows : [Windows Media Player]http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm22_06-02.wmv
- Mac:[Quick Time]http://www.naro.affrc.go.jp/nkk/mail_magazine/files/mm22_06-02.mpg
- 越流許容型ため池工法http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm09_03-01.pdf
- ため池情報http://www.naro.affrc.go.jp/nire/mail_magazine/files/mm09_03-02.pdf
7)こんにちは農業農村
■東ティモールの農業事情
2011年11月21日から12月7日にかけて、国際協力機構(JICA)の技術協力プロジェクトを支援するために東ティモールを訪れました。農業用水路への土砂流入・堆積に関する調査とその対策に関する助言を行うためです。
この問題の解決には大がかりな工事が必要と診断しましたが、現地の経済事情や技術水準を勘案し、水管理の見直しや簡易な施設の建設などによる現状の改善策を提案しました。
2012年は、日本と東ティモールとの間で外交関係が樹立されてからちょうど10年目に当たります。そのため両国は、2012年を「日本・東ティモール友情と平和の年」とし、周年事業を実施するようです。
水利工学研究領域 基幹施設水理担当上席研究員 高木強治
(関連資料)
8)農村の草花
■早春の野辺を彩るコバルトブルー -オオイヌノフグリ-
まだ寒さが残る野辺の日だまりの中、鮮やかなコバルトブルーの花がひときわよく目立ちます。この可憐な花には"オオイヌノフグリ"という変わった名前がついていますが、その名前の由来を知っていますか。
農村基盤研究領域 資源評価担当主任研究員 嶺田拓也
(関連資料)
9)研究者の横顔
■井上敬資(いのうえけいすけ)
今回紹介するのは、誰もがほっとけない農工研のアイドル井上敬資さんです。百キロマラソンを何度も完走したことがある強者です。物理探査による地盤内情報の把握が専門で、地震によるため池等の被害範囲を明らかにし、防災に役立てるため、日夜研究に励んでおられます。(他己紹介:亀山幸司)
(自己紹介)
【編集発行】
〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
(独)農業・食品産業技術総合研究機構
農村工学研究所 企画管理部 情報広報課
Tel:029-838-8169