農村工学研究部門

農村工学研究部門メールマガジン

メールマガジン第30号(2012年 9月号)

目 次

1)最新の「農工研ニュース」より
■後背農地を活用した津波遡上抑制技術 ~減災農地~
2)農村工学研究所の動き
■防災週間の取り組み
■インターンシップ講習生(第二期)のつぶやき
3)研究ウォッチ
■人力による締め固めフィールド試験
4)こんにちは農業農村
■インドの農業・農村を知る ~大豆増産に挑む~
5)農村の草花
■刈田に見られる柔らかで海草のような草の正体は ~ミズワラビ~
6)研究者の横顔
■遠藤 和子(えんどう かずこ)
7)お知らせ
■差し上げます!「農業農村整備のための実用新技術成果選集」2012

 

1)最新の「農工研ニュース」より


■後背農地を活用した津波遡上抑制技術 ~減災農地~

大な津波は、防潮堤で食い止めることはできません。むしろ、防潮堤を超えた津波の勢いを、背後地の農地や農道で弱め、内陸部の居住地域を危険から遠ざけることが現実的と考えます。

のような土地利用と施設配置を、私たちは減災農地と名付け、その効果を水理模型実験で検証しました。こうした実験や数値シミュレーション解析を重ね、減災農地の効果を定量化しています。その結果を踏まえ、東日本大震災で被災した地域の復旧・復興計画の支援に役立てていきたいと考えています。

水利工学研究領域 沿岸域水理担当主任研究員 桐 博英

(関連資料)
(1)農工研ニュース第80号
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/01-01.pdf
(2)この研究成果をもっと深く理解するための4つのQ&A
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/01-02.pdf

 

2)農村工学研究所の動き

■防災週間の取り組み

8月30日から9月5日までは防災週間です。これに合わせて、農研機構「食と農の科学館」にて「東日本大震災からの復旧・復興に向けた技術支援」を8月30日から9月30日まで出展しました。

災発生以降、農工研が実施した技術支援や、現在実施中の取り組みのうち代表的なものをポスターにより紹介しました。また、これまでに農工研が開発した復旧・復興に資する技術や、実験等その開発過程を動画で分かりやすく紹介しました。

後も、東日本大震災からの復旧・復興に向けて、関係機関の協力を得ながら、基本となる「水土の知」をもとに取り組んでいきます。

企画管理部 防災研究調整役 鈴木尚登

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/02-01.pdf

 

■インターンシップ講習生(第二期)のつぶやき

二期(8月20日~8月31日)の講習生9名が、研究業務の一部を任され、実務を体験しました。彼らが社会人になっても、農村工学分野との関わりの中で、彼らを応援していきたいと思います。感想文から一部を紹介します。


技術移転センター 技術研修課 教務指導チーム長 大勝 学

(感想文)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/02-02.pdf

 3)研究ウォッチ

■人力による締め固めフィールド試験

日本大震災の発生を受けて、国内に数多く存在するダムの地震時の安全性の再確認が緊急の課題となっています。そのためには、ダム堤体の物性(材料、変形性、透水性など)を把握することが重要です。

前に築造されたフィルダムは、ごく一部の先進的事例を除いて、江戸時代と同様の器具と方法で人力によって造り上げられました。このような方法で、どの程度の締固めを達成できるのかを、関東ロームを盛土材として使用し、フィールド実証試験を行って確認しました。

回設定した締固め仕様では、現行の締固め基準で評価すると小さめの密度が得られました。今後は、締固め仕様のパターンを増やして検討を進めたいと考えています。

施設工学研究領域 構造担当主任研究員 田頭秀和

(実証試験方法)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/03-01.pdf

 

 4)こんにちは農業農村

■インドの農業・農村を知る ~大豆増産に挑む~

8月20日~31日に、農地排水の専門家として、インド国のマディヤ・プラデシュ州に赴きました。家畜の濃厚飼料や醤油・味噌の原料などに用いる「大豆かす」の多くは、日本ではインドから輸入していることをご存知でしょうか。ただし、単位当たりの収量が低いので、日本の農業技術支援によって改善が図られています。

地では、品種改良や栽培の研究には熱心でした。その一方で、水田の表面を均平にするとか、畑地の排水を改善するとか、農業基盤整備の重要性に関心が低いことに驚きました。

地の排水を改善できれば、大豆の収量は2倍になると考えられています。日本の農業土木技術者の活躍の場は、インドにもあることを実感しました。

農地基盤工学研究領域 水田高度利用担当主任研究員 北川 巌

(関連資料)
(1)マディヤ・ブラデシュ州を訪れて
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/04-01.pdf
(2)ジャバプールの市街地の様子(動画:23秒)
[Windows]
  http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/04-02.wmv
  [Mac]
  http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/04-02.mpg

 

 5)農村の草花

■刈田に見られる柔らかで海草のような草の正体は~ミズワラビ~

東以西の暖地ではすでに稲刈りを終えた田んぼも多くなってきました。刈田を歩くと、ときに黄緑色で柔らかそうな不規則に切れ込みのある葉に出会うことがあります。このミズワラビという植物、その名のとおり、水中でも生育可能なシダの仲間なのです。

農村基盤研究領域 資源評価担当主任研究員 嶺田拓也

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/05-01.pdf

 

 6)研究者の横顔

■遠藤 和子(えんどう かずこ)

つも身につけている地元・福島は会津のマスコット「赤べこ」が印象的です。地域の方々と親しくなりながら、農村計画の研究を進める遠藤さんにとっては、全国あちこちの農村が「地元」なのでしょう。

しい人柄と一緒に、「どの地域も盛り上げたい」という熱意が溢れています。

(他己紹介:渡部恵司)

(自己紹介)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/06-01.pdf

 

 7)お知らせ

■差し上げます!「農業農村整備のための実用新技術成果選集」2012

工研が開発した最新の64件の実用新技術が1件1シート、カラーでコンパクトにまとめられている冊子を希望者に差し上げます。
1名様1冊、先着50名様までとし、同一組織からのお申し込みは1名様に限らせて頂きます。

の冊子は、8月9日に宮城県仙台市で開催された「東日本大震災復旧復興のための実用新技術講習会及び技術相談会」(共催:宮城県、後援:東北農政局)で会議参加者に配付されたものです。

(成果選集:抜粋)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/30/07-01.pdf

【申込み先】
農村工学研究所技術移転センター移転推進室 寺村伸一
〒305-8609 つくば市観音台2-1-6
     Tel:029-838-8296 Fax:029-838-7680
     E-mail:iten◎ml.affrc.go.jp
※メールを送信する際は「◎」を「@」にしてください


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【編集発行】
〒305-8609 茨城県つくば市観音台2-1-6
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