農村工学研究部門

農村工学研究部門メールマガジン

メールマガジン第81号(2016年12月号)

今年も一年間、ご愛読いただき誠にありがとうございました。今年4月から新しい体制となり、様々な記事・情報を皆様に配信させていただきました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

目次

1)トピックス
■「農業用パイプラインの破裂を予防する装置を開発」をプレスリリース

2)イベント情報
■SATテクノロジー・ショーケース2017(お知らせ)

3)新技術の紹介
■普及成果情報の紹介(5)

4)水土里のささやき
■中課題(地域資源管理)の第5回研究会の開催
■イスラエル農業・農村開発省、イスラエル国立農業研究機構が視察
■アグリビジネス創出フェア2016出展報告
■農村工学研究部門の技術研修紹介 ~若手技術者育成研修(2回目)が終了~
■日本における世界かんがい施設遺産(1)

5)農村の草花
■冬の花壇やお正月を彩るあの観賞植物は日本生まれ! ハボタン

6)研究者の横顔
■原口 暢朗(はらぐち のぶろう)

1)トピックス

■「農業用パイプラインの破裂を予防する装置を開発」をプレスリリース

農業用水を送水するために地中に敷設された「農業用パイプライン」は、日本全国で総延長7,500kmに達しています。農業用パイプラインの破損事故は年間約6,700件起きていると推定され、破損事故を軽減するための抜本的な技術開発が望まれています。破損事故の半数以上は、支線の水路にある小口径管(口径450mm以下)で発生しており、その多くは、塩ビ管で生じています。事故は、水管理を行う際の給水栓の開け閉め操作によって管内の圧力が瞬時に変動したり、圧力が繰り返し変動する際に、管の内壁面に大きな引っ張り応力が繰り返し作用することで生じます。
そこで農研機構と旭有機材株式会社は、塩ビ管の疲労破壊を予防する、圧力の変動を緩和する装置を開発しました。
詳細は、関連URLよりご覧下さい。

技術移転部 移転推進室交流チーム長 猪井喜代隆

(関連URL)

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/072744.html

2)イベント情報

■SATテクノロジー・ショーケース2017(お知らせ)

2017年1月31日(火)、つくば国際会議場において、つくばにおける異分野交流の場であるテクノロジー・ショーケース2017が開催されます。
ショーケースのねらいは、つくばをはじめ首都圏で活躍する研究者・技術者が、最新の研究成果、アイディア、技術を持ち寄り、相互に披露し交流する、つくばならではの異分野交流の場を提供することにあります。
今年度、農村工学研究部門からは、地域資源工学研究領域 地下水資源ユニット中里裕臣主席研究員が、「沿岸地域の広域地下水調査のための高能率電磁探査システムの開発」のテーマでポスター発表をいたします。
今回は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所が主担当となり、「つくば発-知の交流から切り開く未来社会」をメインテーマとして、研究者・技術者のイノベーティブな研究発表・展示会が行われ、また、シンポジウムのテーマを「ソサエティ・イノベーション~技術・情報・知の統合~」とし、特別講演では人工知能に関する今後の展望について触れるなど、最新情報の紹介を予定しております。
なお、来年度は、農研機構が、SAT2018の幹事業務を担当する予定です。

技術移転部 移転推進室長 野道彰一

(関連URL:公式HP)

http://www.science-academy.jp/pdf/showcase2017.pdf

3)新技術の紹介

■普及成果情報の紹介(5)

平成27年度の普及成果情報(行政・普及機関、効率試験研究機関、生産者、民間企業等にとって直接利用が可能で、普及が期待できる成果)を紹介いたします。今月は津波減災に関する成果を紹介いたします。

「沿岸部排水機場における吐水槽を利用した津波減災対策」

津波減災効果を期待した排水機場の設計において、機場建屋前面に吐出槽を配置することで低コストな津波減災対策を講ずることができます。
東日本大震災津波により被災した排水機場を対象に、吐水槽を利用した排水機場の津波減勢効果と配置位置の影響を、水理模型実験から明らかにしました。

水利工学研究領域 水利システムユニット

(関連資料)
(1)紹介PDF
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/jituyo/all/pdf/02-03-15.pdf
(2)詳細な内容
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2015/15_084.html

「沿岸部農業地域における農業用施設の適正配置による津波減災」

沿岸部の農業地域に整備されている施設を用い、津波や高潮による大規模な浸水被害を面的に軽減する「地域減災システム」を提案します。
このシステムは、農地や津波減勢効果を高めた農業排水路等を適切に配置することで、津波浸水エネルギーを減らし、農業集落を守ります。

水利工学研究領域 沿岸域水理ユニット

(関連資料)
(1)紹介PDF
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/jituyo/all/pdf/02-03-16.pdf
(2)詳細な内容
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nkk/2015/15_083.html

4)水土里のささやき

■中課題「地域資源管理」の第5回研究会の開催

中課題「地域資源管理」(責任者:地域資源工学領域長)では、研究成果の着実な社会実装に向けて、参画する研究ユニットが持ちまわりで研究会を開催しています。12月13日(火)に当部門で開催された第5回中課題研究会おいては、これまでの締めくくりとして、次年度以降の中課題の推進に向けた方向性の最終確認とキャッチフレーズの選定を行いました。

地域資源工学研究領域 資源評価ユニット特別研究員 大塚芳嵩

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/81/04-01.pdf

■イスラエル農業・農村開発省、イスラエル国立農業研究機構が視察

11月29日(火)、イスラエル農業・農村開発省2名、イスラエル国立農業研究機構3名が農村工学研究部門を訪問しました。白谷企画管理部長が農村工学研究部門の概要を紹介した後に、2名の当部門研究員より研究成果の紹介と意見交換を実施しました。

企画管理部 企画連携室行政連携調整役 渡嘉敷 勝

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/81/04-02.pdf

■アグリビジネスフェア2016出展報告

12月14日(水)~16日(金)に東京ビッグサイトで開催されたアグリビジネス創出フェアに、農村工学部門からは、「農地や農業施設を「つくる」、「まもる」そして農村の未来のために「せめる」農村工学技術」として展示を行いました。

技術移転部 移転推進室交流チーム長 猪井喜代隆

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/81/04-03.pdf

■農村工学研究部門の技術研修紹介 ~若手技術者育成研修(2回目)が終了~

10月25日(火)から12月9日(金)までの約7週間の日程で実施された若手農業土木技術者を対象とした今年度2回目の「農村工学基礎技術研修」が無事終了しました。
研修生は本研修を通じて得た知識や技術を活かしながら、各人が現場等において直面する技術的課題について、研修生同士での議論や自己学習を通じて研究を行い、最終的に成果レポートとしてとりまとめを行いました。研修最終日には、農林水産省や農村工学研究部門の講師を招いて発表会を行い、活発に意見交換しました。
この7週間の研修を終了して現場に戻った研修生が、少しでも前に比べて成長したと職場の上司や先輩・同僚の方々が感じて頂ければ当部門としてもうれしい限りです。
本研修を契機に若い技術者の方々の今後の更なる技術力の向上が期待されます。

技術移転部 技術研修室教務指導チーム長 加藤 孝

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/81/04-04.pdf

■日本における世界かんがい施設遺産(1) ~稲生川(いなおいがわ)~

世界かんがい施設遺産とは、かんがいの歴史・発展を明らかにし、理解醸成を図るとともに、かんがい施設の適切な保全に資するために、歴史的なかんがい施設を国際かんがい排水委員会(ICID)が認定・登録する制度です。登録により、かんがい施設の持続的な活用・保全方法の蓄積、研究者・一般市民への教育機会の提供、かんがい施設の維持管理に関する意識向上に寄与するとともに、かんがい施設を核とした地域づくりに活用されることが期待されています。

第1回は、青森県十和田市他にある稲生川(いなおいがわ)についてご紹介します。不毛の地であった三本木原は、1859年の稲生川用水路システムの建設により、コメの生産量が18倍近くに増加しました。

(全国水土里ネット-新・田舎人フォーラム-のHPより引用)

施設所在:青森県十和田市他
供用開始:1859年
登録年  :平成26年
英語名  :Inaoigawa Irrigation Canal

企画管理部 企画連携室情報専門役 浜田善幸

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/81/04-05.pdf

5)農村の草花

■冬の花壇やお正月を彩るあの観賞植物は日本生まれ! ハボタン

クリスマスも過ぎ、いよいよ年の瀬となりました。この時期、花壇を彩るハボタンは日本で作出された観賞植物であることを知っていましたか。また、このハボタン、キャベツと同じ仲間なので、海外などでは食用としても利用されているのです。

※今年も一年間ご愛読ありがとうございました。皆さまにとってこの一年はどのような年でしたか。さて、「農村の草花」は4月までしばらく休載させていただきます。また暖かくなるころにお会いいたしましょう。それでは、よい年をお迎えください。

水利工学研究領域 水域環境ユニット上級研究員 嶺田拓也

(関連資料)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/81/05-01.pdf

6)研究者の横顔

■原口 暢朗(はらぐち のぶろう)

農地基盤工学研究領域水田整備ユニットの原口さんは、土壌物理学を専門として、四国、九州、つくばでの研究経験から得た "農業は開放系"との考えをもとに水田の整備・管理・保全に関する研究・開発をしています。

(他己紹介: 関島 建志)

(自己紹介)
http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/81/06-01.pdf