東北農業研究センター

所長挨拶

平成31年4月1日付けで農研機構東北農業研究センター所長を拝命しました 湯川 智行 ( ゆかわ ともゆき ) です。就任にあたりましてひと言ご挨拶申し上げます。

農研機構は、現在、第4期中長期目標期間(平成28~令和2年)の4年目にあり、期初に掲げた中長期計画を達成すべく日々研究開発に取り組んでいます。また、昨年4月には、久間理事長はじめ産業界出身の理事2名を加えて、役員体制も一新しております。新役員体制のもと、大きく変化している農業情勢を見据えて、研究体制も柔軟に見直しながら組織運営が行われています。

組織改革について、昨年10月に農業情報研究センターを開設し、農業の研究開発にAIやICTなどの手法導入の加速化により、政府が掲げる"Society5.0"の農業・食品版を早期に実現できる研究体制にしました。また、農研機構の知名度と認知度の向上のための戦略的な広報活動を強化するため広報部の新設や、知的財産権と国際標準化を戦略的に推進するために、知財部も新設しております。民間企業等との共同研究の促進や連携強化のために、事業開発室も新設しております。さらに、本年4月には、グローバルな視点にたって農研機構の将来像も見据えた研究開発戦略を策定する組織として、NARO開発戦略センターを開設しました。

政府が提唱している我が国が目指すべき未来社会の姿としての"Society5.0"とは、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く新たな社会で、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済的発展と社会的課題の解決を両立していく人間中心の世界です。この農業・食品版の実現の第一歩として開始されたのが、「スマート農業加速化実証プロジェクト」で、東北地域では10件の事業が実施されています。東北農業研究センターでは、東北地域の事務局としてリーダーシップを発揮しながら事業を強力に推進することとし、スマート農業技術体系を確立していきます。

第4期の東北農業研究センターの三つの主要な研究の柱である1.寒冷地における大規模水田営農システムの実現、2.収量・品質の向上と「強み」を強化するための先導的品種育成、3.放射性物質対策のための技術開発に取り組んでいくことについては、これまでと変わるところはありません。これら研究開発を加速的かつ効果的に行うためのツールとして、AIやICT等を試験研究に組み込んでいくことを推進していきます。

私は、これまでAIやICTなどがかかわる研究開発事業の代表も務めてまいりましたが、まさかここまで、ロボット化やAI、ICTの開発と導入が急激に進むものとは思っていませんでした。しかしながら、ICTなど高度の科学技術を簡単に取り扱う機器としての代表であるスマートフォンは誰でも手軽に使えるようになっているし、今や科学技術もコモディティ化が進行している中、研究者が従来手法のみに留まっているようではいわゆる研究のタコ壺化につながります。農林水産省の奥原前事務次官は、「科学技術の進歩がやっと農業に追い付いてきた」と発言しています。今は、農業技術開発にめざましく進化した科学技術手法を取り入れて革新的スマート農業を構築すべき時期、このような思いで東北農業研究センターの運営に取り組みます。

農業情勢の変化とともに、研究開発環境も大きく変化しますが、公設試や普及機関、大学、民間企業、営農組織等と連携して、試験研究や実証試験を実施していくことはいうまでもありません。また、「菜の花公開」、「農作業体験学習」、「農研機構東北農研市民講座」、「出前技術指導」など、定着したアウトリーチ活動にも引き続き積極的に取り組んでまいります。

東北農業研究センターは、皆様の期待に応えるべく、時代の変化と地域のニーズをしっかりと捉えた研究開発を行い、得られた成果の社会実装を確実に進めるとともに、地域のより多くの方々に研究成果を知っていただくアウトリーチ活動を通じて、東北地域の農業と農村の振興に全力を尽くしてまいります。みなさまには、私ども農研機構東北農業研究センターに対しまして、引き続きご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、就任のご挨拶とさせていただきます。

平成31年4月
農研機構東北農業研究センター所長 湯川 智行 ( ゆかわ ともゆき )