中央農業研究センター

所長室より -【施肥コスト削減に向けた土壌簡易診断手法や混合堆肥複合肥料の利用をテーマに関東地域マッチングフォーラムを開催】-

  今回もマッチングフォーラムについて紹介します。H28kantoMF_yoshi 1.png
  昨年11月に開催した関東地域マッチングフォーラムでは、「土壌蓄積養分と地域資源の利用による施肥コスト削減」というテーマで開催しました。
  最近、農業資材コストの低減の必要性が言われています。従来は、収量性を高めるために、いかに施肥を効率的に実施していくかが中心的な課題であったかと思いますが、しかし、近年は、過剰施肥や施肥不足による収量・品質の低下が問題となってきており、土壌養分の状況を把握し、それに適合した施肥を実施していくこと、その際、状況によっては減肥を行うことで、施肥コストを削減するという対応が求められてきています。
  また、これまでの施肥においては化学肥料の使用が中心でしたが、近年、養分バランスを整えた混合堆肥複合肥料や高窒素鶏ふん肥料といった、従来よりも低価格となる有機入り肥料の製造・販売も進んでいます。
  この混合堆肥複合肥料の利用が進んでいる背景には、平成24年9月に肥料公定規格が改正され、混合堆肥複合肥料の規格が新設されたことがあります。これにより、家畜ふん堆肥や食品系堆肥を原料とした肥料の製造・販売が可能となりました。特に、この混合堆肥複合肥料の利点として、肥料コストが削減されることがあり、従来の有機配合肥料より10~30%程度施肥コストが少なくなると言われています。また、この肥料は堆肥を含んでいるので、土づくりの効果も期待されます。
  これまで土づくりのために堆肥が多く施用されてきました。しかし、堆肥にはリン酸やカリを中心に肥料成分が多く含まれており、従来のようにトン単位の分量で施用すると、土壌に多量のリン酸・カリが投入され、それだけで過剰施用になる場合も多くありました。事実、農地、特に野菜畑や野菜施設ではすでにリン酸・カリが過剰に蓄積しており、これまでのような堆肥施用法を継続すると、土壌の養分バランスが益々崩れてしまう危険性があります。これに対して、混合堆肥複合肥料のように、堆肥を原料とし、さらに窒素・リン酸・カリ成分を保証値として明示する肥料を使用していけば、土壌の養分バランスの改善にも繫がると考えられます。
  但し、このような対応を進めていく上では、土壌診断を通して、自経営の土壌がどのような状況にあるかを把握することがまずは不可欠であり、そのための簡便な診断手法の構築は急務の課題と言えます。
  このような問題意識から、今回のマッチングフォーラムでは、中央農業研究センターで開発してきました土壌簡易診断手法を説明するとともに、営農現場での窒素、リン酸やカリウム減肥などの取り組みの状況、さらに、混合堆肥複合肥料や高窒素鶏ふん肥料の開発、普及の状況を紹介してもらい、今後の対応方向等について討議を行いました。
  フォーラムには生産者、行政機関、普及関係者、民間企業の担当者など合計163名と多数の方の参加を得ることができました。また、講演に加え、会場に設けた技術相談会ではパネル展示や実物展示、実演・体験、パンフレット配布等が行われ、熱心な質疑がなされました。
  なお、このマッチングフォーラムにおいて使用された資料については、このホームページの「お知らせ」欄で掲載していますので、こちらを参照して頂ければ幸いです。

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