中央農業研究センター

作物栄養グループ

植物中の気体(または気化しやすい)成分を分析するための装置(GC/MS:ガスク ロマトグラフ質量分析計)です。野菜や果物の香りの分析や、生理障害の非破壊診断などに利用しています。ニオイ嗅ぎ装置を備えており、オペレーターが嗅覚で目的成分を特定することもあります。

  作物の栄養状態や品質の診断に基づき、施肥や土壌管理を適切に行うことは、作物生産の安定的な向上や高品質な作物を生産するための重要な技術です。これまで、窒素やリンなどの無機成分やビタミンCなどの品質成分の簡易な診断法が開発され、肥培管理の改善に貢献してきました。しかし近年、現場で発生する生育・生理障害は原因が複雑化し、従来の手法では診断が困難になっています。また、高品質な農産物の栽培技術に対する要望は大きくなっています。そのため、必須元素の生理機能や多様な品質成分に対応した新たな診断技術の開発が必要です。また、植物や微生物の持つ養分吸収促進機能を積極的に利用して肥料の利用効率を高め、低投入で持続的な作物生産技術を開発することも作物栄養分野の大きな課題です。
  これまで当研究グループでは、ホウ素の機能にもとづく精度の高い診断法として、細胞壁のホウ酸架橋率を指標とする作物のホウ素欠乏診断法の開発や、野菜や果樹などの品質に関連する成分の分析法の確立などを行ってきました。また、植物の生育や代謝成分に影響を与える新たな共生微生物の分離や、共生微生物と植物の相互作用について研究を行ってきました。現在は、これらの研究をさらに進め、植物の代謝成分を網羅的に分析するメタボローム手法を用いて、栄養や環境ストレスを検出する代謝マーカーの開発や、農産物の品質を決定する香り成分の分析手法の開発を行っています。そして将来的には、これらを作物の生産性や品質を向上する肥培管理技術に繋げたいと考えています。また、生育促進作用を持つ植物共生微生物をバイオ肥料として資材化し、作物の増収や化学肥料の低減に繋げる技術開発を行うとともに、共生微生物と植物の親和性や生育促進機構などに関する基礎的な研究を進めています。
  これらの研究は、科研費や農食事業等の競争的資金や委託研究費をもとに、大学、民間企業、公設試等と共同で行っています。また、筑波大学との連携大学院制度により、学生の研究指導も行っています。当研究グループには、香り成分等を網羅的に分析するための機器(写真)が整備されており、香味品質の決定要因に関する研究では、これらの設備を活用し分析を進めています。

メンバー

法人番号 7050005005207