食品総合研究所

放射線食品科学ユニット

役割

  食品照射技術は、加熱や冷蔵のような食品の物理的処理技術のひとつで、殺菌や殺虫、発芽抑制などが可能です。わが国におけ るこの技術のあり方については、消費者も交えた議論が必要であると考えますが、そのために必要な科学的なデータや客観的な情報提供を使命と考えています。 なお、日本食品照射研究協議会の事務局として、食品照射に関する情報提供も行っています。

 

主な研究テーマ

放射線照射食品の検知技術の開発

  食品照射技術の是非にかかわらず、照射食品の適正な流通を保証するためには、表示の裏付けとなる検知技術が必要です。そこで、熱蛍光(TL)法などの物理的方法や、電子スピン共鳴(ESR)法、化学分析法、DNAコメットアッセイ法などの検知技術の研究を実施しています。

放射線(電子線)の利用による殺菌、殺虫技術の開発

  食品照射技術の新たな応用について殺虫や食中毒菌に対する効果の検討を、食品安全研究領域の他のユニットと共同して実施しています。

食品にガンマ線や電子線を照射して殺菌・殺虫、発芽防止を行う技術のひとつに”食品照射技術”があります。現在、わが国では、バレイショの芽止を目的としたガンマ線照射のみが許可されていますが、諸外国では、香辛料などの殺菌法としても利用されています。
バレイショの芽止を目的としたガンマ線照射

  照射食品の検知技術のひとつである、光ルミネッセンス(PSL)法の国産測定装置を開発しました。(東京都立産業技術研究センターと共同)この方法は、迅 速なスクリーニング法として、確定的な方法である熱ルミネッセンス(TL)法と合わせて利用することで、香辛料や乾燥野菜などの効率的な検査に役立てるこ とが出来ます。
光ルミネッセンス(PSL)法の国産測定装置

 

電子スピン共鳴(ESR)法による食品分析技術の開発

  照射食品の検知技術研究に用いられている電子スピン共鳴(ESR)法を利用して、食品の加工処理(加熱、粉砕、酸化、混合、照射など)によるラジカルや抗酸化性の変化についての研究を実施しています。

 

電子スピン共鳴(ESR)分光器と香辛料試料の処理によるスペクトルの違い

 

メンバー

ユニット長
等々力節子(とどりき せつこ)/専門:食品照射、放射線利用

主任研究員
亀谷 宏美(かめや ひろみ) /専門:電子スピン共鳴、ラジカル計測

 

主要成果

  • S.Chen, T. Tsutsumi, S. Takatsuki, R. Matsuda, H. Kameya, M. Nakajima, M. Furuta, S. Todoriki, Identification of 2-alkylcyclobutanones in nutmeg (Myristica fragrans) Food Chemistry 134 359-365 (2012)
  • I. Minami, Y. Nakamura, S. Todoriki, Y. Murata, Effect of γ irradiation on the fatty acid composition of soybean and soybean oil. Biosci. Biotechnol. Biochem. 76(5) 900-905 (2012)
  • S.Chen, Y. Morita, H. Kameya, M. Nakajima , S. Todoriki, Identification of Irradiated prawn(Penaeus monodon) Using Thermoluminescence and 2-Alkylcyclobutanone Analyses. Journal of Agricultural and Food Chemistry  59(1) 78-84 (2011)
  • H. Kameya, J. Watanabe, Y. Takano-Ishikawa, S. Todoriki: Comparison of scavenging capacities of vegetables by ORAC and EPR, Food Chemistry, 145, 866–873 (2014).
  • H. Kameya, M. Kikuchi, H. Hara, Masakazu Furuta, S. Todoriki, Y. Kobayashi, M. Ukai and Y. Shimoyama: Relaxation Behaviors of Free Radicals From c-Irradiated Black Pepper Using Pulsed EPR Spectroscopy, Applied Magnetic Resonance, 42(2), 153-159 (2012)
  • H. Kameya, A. Miyanoshita, T. Imamura, S. Todoriki: Assessment of gamma ray-induced DNA damage in Lasioderma serricorne using the comet assay, Radiation Physics and Chemistry, 81, 316-321 (2011)