食品総合研究所

食品害虫ユニット

役割

米や麦などの穀物や乾燥加工食品につく害虫を対象に、その防除を目的とした研究をしています。中心となるのは貯蔵中の米につく害虫の研究で、これまでに15°C以下で低温貯蔵する方法や、ガス剤で燻蒸して殺虫する技術などを開発しました。しかし、燻蒸剤の臭化メチルがオゾン層を破壊するため、先進国では2005年に生産中止になりました。現在、臭化メチルに代わる害虫防除方法の開発を進めています。また、害虫問題がなく、安全性の高い、安心して食べられる食料を供給する技術の開発を今後の課題としています。

 

主な研究テーマ

高圧炭酸ガスによる害虫駆除法の開発

ビールや清涼飲料水で使われる二酸化炭素は高濃度にすると殺虫作用を持ちますが、それだけでは殺虫に10日位かかってしまいます。そこで、圧力をかけて害虫の体内に二酸化炭素をしみ込ませ、それを一気に抜くことによって害虫の体を破壊させる新しい防除技術を開発しました。この技術はすでに実用化レベルにありますが、引き続き簡便化のための改良を進めています。また、例えば輸入農産物などの害虫防除にも使えるよう、用途拡大にも取り組んでいます。
高圧二酸化炭素が平成19年7月4日付けで、クリシギゾウムシ殺虫を目的としたくん蒸剤として農薬登録されました(登録番号:第18194号,農薬名称:エキカ炭酸ガス)。現在、臭化メチル代替殺虫技術としてクリシギゾウムシ殺虫に使える農薬として唯一の登録となります。

高圧二酸化炭素処理装置
新しく開発した高圧二酸化炭素処理装置

コクゾウムシ成虫
コクゾウムシ成虫

高圧二酸化炭素処理後の急激な減圧で体が破裂した状態
高圧二酸化炭素処理後の急激な減圧で体が破裂した状態

害虫の生態を利用した防除方法の開発

環境にやさしい防除方法として、天敵昆虫を利用した貯穀害虫の防除方法を研究しています。

  • 食品害虫と天敵との関係
    図 食品害虫と天敵との関係

新しく侵入してきた害虫の生理生態の解明と防除方法の開発

新しく日本で見つかった害虫の生理生態を調査し、虫に対する基礎的な知見を蓄積していきます。

ガイマイツヅリガ
ガイマイツヅリガ

低エネルギー電子線(ソフトエレクトロン)を利用した害虫防除法の開発

貯蔵穀物を加害する害虫の防除には、これまでくん蒸剤が使用されてきましたが、地球環境への悪影響や人体への安全性の点で問題が指摘されています。そこで、低エネルギー電子線を用いた害虫の防除法の開発を行っています。(食品安全領域上席研究員と共同)

加工食品に対する害虫防止法の研究

チョコレートや香辛料などの加工食品に対する昆虫の異物混入について、害虫の侵入方法やその防止方法を食品メーカーと共同研究しています。

貯穀害虫・天敵図鑑データベースの提供

貯穀害虫・天敵図鑑
代表的な貯蔵食品害虫の種類とその天敵昆虫について、写真と解説を公開しています。

メンバー

ユニット長
宮ノ下 明大(みやのした あきひろ) /専門:応用昆虫学

主任研究員

古井 聡(ふるい さとし) /専門:分子生物学、生化学
今村 太郎(いまむら たろう) /専門:昆虫生態学

 

主要成果

  • 曲山幸生 七里与子 宮ノ下明大 今村太郎 和田有史 増田知尋(2012)食品害虫サイトの大幅改訂による訪問者のアクセス行動の変化.食品総合研究所研究告76:59-66.
  • Md. H. Hasan, S. Todoriki, A. Miyanoshita, T. Imamura (2011) Age-and time interval-specific gamma radiation-induced DNA damage in adult maize weevils, Sitophilus zeamais Motschisky, assessed using comet assays. Mutation Research 741: 95-100.
  • 宮ノ下明大・今村太郎(2011)チョコレート製品でのノシメマダラメイガPlodia interpuncTella 幼虫の発育.ペストロジー(2)26:53-57.
  • Kameya, H., A, Miyanoshita, T. Imamura, S. Todoriki (2011) Assessment of gamma ray-induced DNA damage in Lasioderma serricorne using the comet assay. Radiation Physics and Chemistry, 81:316-321.
  • 今村太郎・宮ノ下明大・等々力節子(2011)繭の中のタバコシバンムシに対する低エネルギー電子線の効果.食品照射46:24-26.
  • 曲山幸生・七里与子・宮ノ下明大・今村太郎・和田有史・増田知尋・木村敦(2011)ウェブアンケートによる食品害虫サイトの利用状況調査.食品総合研究所研究告75:55-61.
  • 宮ノ下明大・今村太郎(2010)堅果類で発育するコクゾウムシ.家屋害虫32(2):59-63.
  • 今村太郎・宮ノ下明大・松阪守・峯岸利充・石向稔・中北宏(2010)スチール製倉庫内でのコクゾウムシの越冬実験 ―シェルターと水分の効果―.家屋害虫32(2):51-57.
  • 曲山幸生・七里与子・宮ノ下明大・今村太郎(2010)アクセス解析から推定した食品害虫の注目度と浸透度.農業情報研究19:1-9.
  • Kageyama, D., S. Narita, T. Imamura, A. Miyanoshita (2010) Detection and identification of Wolbachia endosymbionts from laboratory stock of stored-product insect pests and their parasitoids. Journal of Stored Products Research 46:13-19.