食品総合研究所

分析ユニット

役割

種々の食品中の成分を掲載し、国民の栄養摂取の基礎的資料となっている「日本食品標準成分表」の作成に参画してきました。また、高度な手法・最先端機器による食品中の微量元素組成分析は、長ネギなど種々の農産物の産地判別に応用され、注目を集めています。さらに、生物が育った環境(生育水・気候・食性履歴など)を反映する軽元素の安定同位体比分析を導入し、微量元素組成分析と組み合わせることにより、農畜水産物の産地判別技術の高精度化を目指しています。
科学的根拠に基づく産地判別技術

主な研究テーマ

 軽元素安定同位体比分析による農畜水産物の産地判別 

軽元素(炭素・窒素・酸素・水素)の安定同位体比は、生物が育った環境を反映することから、生物固有の“化学指紋”を読み取ることにつながり、生態学や地球化学などの分野で物質循環や起源推定のための手法として主に開発されてきました。近年では、続発する食品の表示偽装問題に対する科学的手法として、DNA分析・微量元素分析とともに注目を集めています。
現在は、コンブ(文科省「函館マリンバイオクラスター~UMIのグリーン・イノベーション~」に参加)・ワカメ・ウナギ・ハチミツ・シイタケについて、安定同位体比分析と微量元素分析など複数の分析技術を組み合わせて、産地判別技術の開発を行っています。

微量ミネラルによる農畜水産物の産地判別

  種々の農産物の無機元素組成による産地判別を行っています。長ネギについては原産地を手早く判別できる技術を開発して判別マニュアルを公開しました。また、輸入が増加しているタマネギと特産品ブランド化している丹波黒大豆についても技術開発を終了し、判別マニュアルを公開中です。(http://www.famic.go.jp/technical_information/index.html)

安定同位体比分析と微量元素組成分析の組み合わせによる判別技術の高精度化

各分析法には、長所・短所が存在するため、複数の分析法を組み合わせることによって、高精度な産地判別技術の開発を目指す必要があります。2000年に入り、安定同位体比と無機元素組成を組み合わせ、統計解析を行うことにより、精度の向上を目指す報告がEUを中心に活発に行われ始めています。現在、日本で流通している食品への応用を行っています。
リンゴについて、安定同位体比分析では、国産と中国産の判別の可能性が見出されていますが、国産については有意差が得られません。しかし、安定同位体比分析の結果に微量元素分析を加えることにより、青森・長野・中国で異なる特徴が見られ、産地判別の高精度化が可能となりました。
青森県産・長野県産・中国産のリンゴの産地判別技術の開発

メンバー

ユニット長
逸見 光(へんみ ひかる)/専門:構造生物学

研究員
鈴木 彌生子(すずき やえこ)/専門:食品分析

駐在員(消費安全技術センター)
豊田 正俊(とよだ まさとし)/専門:食品分析

主要成果

  • Hikaru Hemmi, Atsushi Kuno, Jun Hirabayashi: NMR structure and dynamics of the C-terminal domain of R-type lectin from the earthworm Lumbricus terrestris, FEBS Journal 280, 70-82 (2013)
  • 鈴木 彌生子,中下 留美子,河邉 亮,北井 亜希子,富山 眞吾:炭素・酸素安定同位体比分析による青森県産および中国産リンゴの産地判別の可能性,日本食品科学工学会誌,59,69-75 (2012)
  • Yaeko Suzuki, Ryo Kobe, Rumiko Nakashita :A novel method to discriminate between natural and synthetic fibers by stable carbon, nitrogen and oxygen isotope analyses, Chemistry Letters, 41, 242–243 (2012)
  • Kaori Saito, Hulin Tai, Hikaru Hemmi, Nagao Kobayashi, Yasuhiko Yamamoto: Interaction between the Heme and a G-quartet in a Heme-DNA Complex, Inorganic Chemistry 51, 8168-8176 (2012)
  • 鈴木彌生子:食品表示を担保する安定同位体比分析 -適用可能性と限界-,農林水産技術研究ジャーナル ,34(5), 25 (2011)
  • 鈴木彌生子:生元素の安定同位体比による起源推定の可能性―食品・化成品の原料判別から毛髪の起源推定まで―,食品衛生学会誌,52(3), J-235  (2011)
  • 小泉 鏡子, 中下 留美子, 鈴木 彌生子:安定同位体比分析によるしらす干しの原料原産地判別の可能性,日本食品科学工学会誌 58(6),259-262 (2011)
  • Hikaru Hemmi, Takashi Kumazaki, Shuichi Kojima, Takuya Yoshida, Tadayasu Ohkubo, Hideyoshi Yokosawa, Kin-ichiro Miura, Yuji Kobayashi: Increasing the hydrolysis constant of the reactive site upon introduction of an engineered Cys14-Cys39 bond into the ovomucoid third domain from silver pheasant, Journal of Peptide Science 17, 595-600 (2011)
  • 鈴木彌生子・佐藤里恵: 熱分解型元素分析/同位体比質量分析計を用いた水素・酸素安定同位体比の測定方法とその応用,Researches in Organic Geochemistry (ROG),26, 31-37 (2010)
  • 佐藤里恵・鈴木彌生子: 元素分析/同位体比質量分析計を用いた炭素・窒素安定同位体比の測定方法とその応用,Researches in Organic Geochemistry (ROG),26, 21-29 (2010)
  • Yaeko Suzuki, Fumikazu Akamatsu, Rumiko Nakashita, Takashi Korenaga: A Novel Method to Discriminate between Plant- and Petroleum-derived Plastics by Stable Carbon Isotope Analysis, Chemistry Letters, 39, 998-999 (2010)