食品総合研究所

GMO検知解析ユニット

役割

GM(遺伝子組換え)技術を利用した農作物の安全性評価技術とその検知技術の開発を行います。

遺伝子組換えってなに?

主な研究テーマ

組換え遺伝子の検知技術の開発

2015年1月現在わが国でダイズ、トウモロコシ等299種類のGM農作物について食品としての安全性が確認され、米国、カナダ等から輸入可能となっています( http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000071167.pdf)。現在、これら農作物とその加工食品については消費者への情報提供を目的とした表示が必要になっています。この表示制度の運用に必要となる組換えDNAを検知する実用的な技術の開発を進めています。

 

遺伝子組換え農作物の安全性評価手法の開発

GM農作物の、食品としての安全性評価に関わる研究を行っています。多くの共同研究者と共に、GM技術応用食品の安全性評価に必要となる、新しく農作物に導入された遺伝子産物(タンパク質)の消化性試験法等の評価技術の開発等を行っています。 また、GM農作物の安全性評価のための食品成分データベースの作成を行っています(現在修正作業中)。最近問題となっている食物アレルギーについても、米・小麦を中心としてアレルゲンタンパク質の検出法の開発を行っています。

 

成果

1)組換え遺伝子の検知技術の開発
2001年4月から新しく始まった表示制度の監視や原料の品質管理のために標準分析法を開発する必要性が高まり、農研機構食品総合研究所、国立医薬品食品衛生研究所、農林水産消費安全技術センターが中心となって、多くの分析機関、民間企業とともに実用性の高いGM農作物検知技術の開発を進めました。その結果、遺伝子組換え体の新しい定量法の開発と、分析に必要となる標準物質の開発に成功しました。これらの分析法は、農林水産省および厚生労働省によって標準分析法として公表されています。また、これらの分析法は韓国でも標準分析法として使われています。GM農作物の検知技術開発が進むとともに、国際的な分析法の標準化の作業が国際標準化機構(ISO)で進められてきました。現在までに遺伝子組換え産物の分析法のための一般原則、タンパク質を用いた方法、DNA抽出法、定性PCR法、定量PCR法が国際標準として採択されています。このうち、定量PCR法(ISO21570)のAnnexにはわが国から6種類のGM農作物定量法が提出され、2005年11月に国際標準分析法として公表されました。世界的に見ても表示制度監視のために定量法まで含めた標準分析法を決めたのはわが国が最初です。これらの技術を使って、市民団体等から指摘を受けた未承認組換え体混入品の検証実験等も実施しています。
GM農作物の定量方法

2)認証標準物質の生産
GM食品の表示制度の実効性を確保するために分析法の標準化を進めています。妥当性確認のなされた標準分析法で分析する場合においても、得られた分析値が妥当な範囲にあり、分析結果が信頼できるものであることを確認すること(分析の内部質管理)が必要です。適切に内部質管理を実施するためには、分析対象に関しての認証値が付与されている認証標準物質(CRM)を利用することが求められます。当ユニットでは、ISOガイド34(標準物質生産者の能力に関する一般要求事項)に基づくGMダイズとGMトウモロコシの標準物質生産者およびISO/IEC17025に基づく校正事業者としての認定を取得し、GMダイズ2種類、GMトウモロコシ1種類のCRMを生産し、頒布しています(http://www.naro.affrc.go.jp/nfri/contens/iso/index.html)。

3) 遺伝子組換え農作物網羅的検知技術の開発と未承認系統混入の推定
安全性審査が終了した承認GM系統の種類が年々増加していることから、多数のGM系統を効率よく検知する技術が求められています。当ユニットでは、多種類のPCR分析を一斉に行うことができるリアルタイムPCRアレイ技術を土台として、GM農作物の網羅的検知法を開発しています。リアルタイムPCRアレイには新たな検知対象を容易に追加することができるため、GM農作物の流通状況に応じて必要な検査法を提供することが可能です。また、この分析法は、網羅的にGM農作物を検出することで、誤って混入した安全性未承認のGM農作物の混入を見出す技術としても応用が可能です。
リアルタイムPCRアレイ法の概要

リアルタイムPCRアレイ法の概要

4) スタック品種の混入に影響を受けない組換えトウモロコシの混入率評価技術
近年、トウモロコシを中心として組換え体を複数掛け合わせたスタック品種の栽培・流通が拡大しています。しかし、従来から利用されている定量PCR法ではスタック品種の混入率を正確に評価することができない場合があります。そこで、検査の正確性を向上させるため、スタック品種の混入に影響を受けない新しい組換え体混入率評価技術としてグループテスティング法の開発を行っています。


グループテスティング法の原理

グループテスティング法の原理

5) 遺伝子組換え農作物の安全性評価
GM農作物等の食品としての安全性評価手法の開発に取り組んでいます。また、農作物の安全性評価のために作成した食品成分データベースの公開も行っています(現在修正作業中)。組換え技術応用食品に対する消費者の関心は引き続き高いことから、社会的な理解を進めるためのシンポジウム・勉強会などの取り組みにも積極的に関わっています。GM技術の基礎知識、GM農作物の安全性評価等は下記のサイトからさまざまな情報を入手することができます。  

(基礎知識、最近のニュース)
・バイテク情報普及会 ( http://cbijapan.com/)

(行政からの情報提供)
・農林水産技術会議事務局技術政策課技術安全室 ( http://www.s.affrc.go.jp/docs/anzenka/index.htm)
・厚生労働省医薬食品局食品安全部 (http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/idenshi/index.html)
・カルタヘナ議定書関連 (バイオセーフティクリアリングハウス)( http://www.biodic.go.jp/bch/)

(詳しいQ&A等)
・バイオインダストリー協会 ( http://www.jba.or.jp/top/bioschool/seminar/index.html)
・ILSI Japan (特定非営利活動法人国際生命科学研究機構) ( http://ilsijapan.org)

(その他の情報提供)
・ISAAA (International Service for the Acquisition of Agri-biotech Applications; NPOが提供する組換え農作物の世界における作付け状況等)( http://www.isaaa.org/)
・CERA's database of safety information (International Life Sciences Institute; (ILSI)が提供する組換え農作物系統ごとの科学的情報) ( http://www.cera-gmc.org/?action=gm_crop_database&)
・ISB(Information Systems for Biotechnology; ヴァージニア工科大学提供のバイテク関連科学情報の提供)( http://www.isb.vt.edu/)
・GMO Compass ( http://www.gmo-compass.org/eng/home/)

 

メンバー

ユニット長
橘田 和美(きった かずみ)/専門:食品化学、細胞生物学

主任研究員
高畠 令王奈(たかばたけ れおな)/専門:植物生理学、植物病理学

主任研究員
真野 潤一(まの じゅんいち)/専門:応用微生物学

 

主要成果