食品総合研究所

上席研究員

役割

これまでよりも強く国民と食品総合研究所を結び付けるために、正しい食品研究情報の発信技術について研究開発しています。

主な研究テーマ

食品総合研究所の研究成果は、主に、論文・特許等の文献、講演会・展示会、共同研究開発を通じて公開しています。誰もがアクセスできるマスコミやウェブサイトも利用しています。しかし、後者は一般の方にとってわかりにくかったり不正確であったりといったご指摘もあり、必ずしも十分とは言えませんでした。そこで、研究所(研究者)自らが直接情報を発信するために、ウェブサイトの使い方を検討することにしました。例えば、単なる文字や静止画だけの情報から動画と音声を駆使したコンテンツを導入してわかりやすくすること、ウェブサイトのページ間の連携を改善してウェブサイト全体で情報を伝達することといった取り組みをおこなってきました。また、日本各地に散らばる伝統発酵食品の情報をひとつにまとめ関係者が利用できるようにするために、発酵食品データベースの構築の取組みを開始しました。

合成音声を使ったウェブページ

2006年に京都大学西田研究室との共同研究により、西田研究室が開発したEgoChatシステム(分身エージェントが簡単な動作を交えて画像資料を音声で説明するシステム)を導入して、食品総合研究所のウェブページ等で利用を始めました。EgoChatシステムではテキストから合成した音声とパワーポイントのスライドのような画像を利用するので、ビデオよりも気軽に作成することができ、修正することも簡単です。2013年まではEgoChatシステムを用いて食品クイズ等のコンテンツを作成してきました(図 1)が、これは研究用試作システムなので、2014年からは市販のテキスト音声合成システムとプレゼンテーションシステムを組み合わせて動画を作成し、食品害虫サイトのニュース&コラム(図 2)等で利用しています。
(参照:原著論文8, 9、解説6, 7, 8)

EgoChatシステムで作成した食品クイズ(

図 1 EgoChatシステムで作成した食品クイズ(例:動画ファイルに変換したもの)

 

食品害虫サイト ニュースとコラム

図 2 食品害虫サイト(ニュースとコラム)のページ

食品害虫サイト

2007年11月にインターネット図鑑「貯穀害虫・天敵図鑑」を拡張する形で食品害虫サイトを開設しました(図 3)。食品害虫サイトの目的は、貯穀害虫・天敵図鑑を利用しやすくすることに加えて、食品総合研究所の研究成果を中心に食品害虫に関する情報を提供することです。この取組みの過程でウェブサイトを利用した研究情報の発信技術に関するノウハウを蓄積してきました。現在は、客観的にウェブサイトを評価するためにアクセス解析を用いて、その結果をもとにウェブサイトを改善するというサイクルを重視しています。
(参照:原著論文1, 2, 3, 4, 6, 7、解説4, 5)
(所内協力関係:食品安全研究領域食品害虫ユニット食品機能研究領域食認知科学ユニット)

害虫サイト トップページ

図 3 食品害虫サイトトップページ

 

発酵食品データベース

日本の伝統発酵食品は、1保存性が高い、2独特な味と香りを持つ、3原材料にない有用成分を含む、といった特長を持ち、長い年月日本人に愛されてきました。もう一つの特長は多様性ですが、地域特産物と密接に結びつき各地で独自に進化を遂げてきたことがその理由だと考えられます。しかし、社会環境の変化により多様性は少しずつ失われつつあります。そこで、この多様性を保存・継承し、発酵食品分野のさらなる発展に貢献したいと考え、発酵食品に関する様々な情報(基本データ:食品、微生物、原材料、食文化、文献、問合せ先)を関連付けて登録した「発酵食品データベース」の構築に取り組み始めました(図 4)。
(参照:解説1, 2)
(所内協力関係:応用微生物研究領域糸状菌ユニット応用微生物研究領域長)

図 4 発酵食品データベースの基本データ構造

図 4 発酵食品データベースの基本データ構造

 

メンバー

上席研究員
曲山幸生(まがりやまゆきお)

契約職員
七里与子(しちりくみこ)
塚田佳苗(つかだかなえ)

 

主要成果

(原著論文)

(解説)

  • 曲山幸生、New Food Industry, 56(8), 33-40 (2014), 発酵食品データベースの構築-日本伝統発酵食品の技術を継承し発展の基礎を作る-
  • 曲山幸生、美味技術学会誌, 13(1), 40-42 (2014), 発酵食品データベース-日本の食文化を受け継ぎ、さらに発展させるために-
  • 曲山幸生、食品と容器, 55(3), 148-153 (2014), シリーズ解説日本の伝統食品「豆腐よう」
  • 曲山幸生、AFCフォーラム, 60(1), 22 (2012), 耳よりな話「食品害虫サイト」
  • 曲山幸生 、七里与子、宮ノ下明大、今村太郎、日本農学図書館協議会誌, 163,5-9 (2011), 「貯穀害虫・天敵図鑑」から「食品害虫サイト」へ
  • 曲山幸生、SUNATEC e-Magazine、食品分析開発センター、(2008)、EgoChatを使った情報発信
  • 曲山幸生、実用産業情報, 45, 25-31 (2008)、EgoChatを使った食総研研究成果の発信
  • 曲山幸生、食品と技術, 438, 9-14 (2007)、新しい研究広報ツールとしてのEgoChat