食品総合研究所

放射性物質影響研究コーディネーター

役割

  2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性物質は、事故後4年以上が過ぎ、食品においては放射性セシウム(134Csと137Cs)が主体となっています。過去の原発事故等での食品中及び食品の加工・調理での放射性物質の動態も調べられてはいますが、日本特有の食品でのデータは多くはありません。また、食品衛生法により放射性物質のモニタリング・規制がされていても、食品中の放射性物質の量についての消費者の不安が大きく、食品中の放射能濃度測定の妥当性についての検討が求められています。
  放射性物質影響研究コーディネーターは、原子力発電所事故直後の2011年3月に設置された食品総合研究所放射性物質影響ワーキンググループの事務局として、また、環境中に放出された放射性物質の食品への影響について研究するために、2012年4月に新たに設置されました。食品総合研究所内のさまざまな対象食品の専門家との連携による研究を推進すると共に、所外との連絡・連携窓口として役割を担っています。

 

主な研究テーマ

放射性セシウムの食品の調理・加工での動態解析

 そのものが食品であり、加工食品の原料となる農産物についても、2012年4月に食品衛生法で設定された放射性セシウムの基準値でモニタリング及び規制されています。食品加工においての放射性セシウムの動態の解明は、食品産業において重要な指標となるものであり、特に日本独特の食品においての基本的なデータが少ないことから、農産物から食品の加工・調理過程における動態について研究しています。

 

放射性セシウムの移行
図1 小麦の製粉とうどん調理での放射性セシウムの移行(放射性物質影響ワーキンググループ成果)

 

日常的な食事での放射性セシウムの調査協力

 総合モニタリング計画(原子力規制委員会、2012年4月1日改訂。モニタリング調整会議決定)にも位置づけられている食品摂取を通じた実際の被ばく線量の把握のための福島県日常食調査において、食事中の放射性セシウム濃度の測定に協力しています。

食品中の放射性物質濃度の測定の質管理への貢献

 放射性物質影響ワーキンググループは、事故後初の本格的な小麦収穫期前に、「食品中の放射性物質スクリーニング法」において、サーベイメーターによる放射能濃度を測定する際に、遮蔽が重要であることを報告しました。
 また、農産物等の放射能濃度測定において、機器の校正はもちろんのこととして、日常的な測定における精度(質)管理には、通常測定する放射能濃度の標準的な試料を用いることで、測定や測定値の妥当性を自ら確認することができることから、標準物質の開発を行いました。この標準物質は、(独)産業技術総合研究所と共同で開発し、2012年4月に定められた一般食品の基準値(100Bq/kg)よりもわずかに低い認証値をもつ玄米(放射性セシウム分析用)認証標準物質として、同研究所から2012年8月末より一般に頒布されています。
  頒布についての詳細は、(独)産業技術総合研究所計量標準総合センターをご覧ください。
認証標準物質開発とその生産ノウハウを生かし、放射能測定の外部精度管理の機会提供を目的に、相互比較試験及び技能試験を提供しています。*最新の情報はこちら

玄米写真

図2 認証標準物質(放射性セシウム分析用玄米NMIJ CRM 7541-a)

メンバー

放射性物質影響研究コーディネーター/上席研究員
濱松潮香(はままつ しおか)

研究員
八戸真弓(はちのへ まゆみ)

 

主要成果