食品総合研究所

応用微生物研究領域

ゲノム情報を活用した微生物機能の高度化

応用微生物研究領域長 北村 義明(Yoshiaki Kitamura)

応用微生物研究領域長

近年、多数の有用微生物のゲノム解析が行われ、ゲノム情報に基づいた微生物機能の高度化が可能になりました。今後、麹菌やパン酵母等の有用微生物について、ゲノム情報を活用したポストゲノム解析研究による有用機能の一層の高度化・高精度制御技術の開発が急速に進められようとしています。例えば、麹菌の有用な酵素遺伝子の全てが明確になり、その活用方法や最適な制御方法が明らかにされることにより、麹菌の有用な機能を限界まで引き出すことが可能になると考えられます。また、DNAマイクロアレイ技術の応用により、特定の微生物を迅速・高精度で検出する新しい技術等の開発も可能です。
当研究領域の各ユニット等によるこのような研究により、微生物の種々の有用な機能を詳しく解明し、微生物機能を一層高度化し、最適な制御技術等を開発し、新しい微生物利用技術の開発や、食品産業技術の飛躍的な発展につなげます。

研究領域背景

チコリからのオリゴ糖DFAIII、DFAIの効率的生産技術の開発

北海道では甜菜から砂糖が年間70万トンほど生産され、市場規模1,000億円オーダーの重要な産業となっています。しかし砂糖の消費の減少のため甜菜の転作作物が必要になっています。 欧州では甜菜の転作作物としてチコリが導入されています。チコリのイヌリンから微生物酵素を用いて有用なオリゴ糖を生産するための研究を進めています。

発酵食品の製造に使用される細菌について

主に対象としているのは、納豆菌等の有用細菌類や、それらによって作られる酵素などの様々な生産物です。酵素などの性質を改良したり、量的にたくさん作れるようにすることを目指しています。具体的には、納豆菌のネバネバの物質( γ-ポリグルタミン酸)が生産される仕組みの解明や、抗菌性等の検索・改良に関する研究などに取り組んでいます。

麹菌の有用機能の高度化のために

麹菌(Aspergillus oryzae)は、味噌や醤油、漬物などの発酵食品の生産に不可欠の糸状菌(カビ)の一種です。これまで、味や香りの良い発酵食品や、工業用酵素の生産ため、麹菌の品種改良研究が行われてきました。2005年には、麹菌ゲノム解析が完了し、ゲノム情報を利用した遺伝子機能解析や分子生物学的研究が世界的に活発に進んでいます。
おいしい発酵食品や健康的な食生活のために、麹菌等の発酵微生物の働きを向上させたり、人間の活動による地球環境負荷の低減のために微生物機能を利用することが益々求められています。
糸状菌ユニットでは、麹菌を中心とした発酵微生物の生理機能や遺伝子機能の解明や微生物利用に関する先端的研究ならびにその応用研究を進めています。

微生物の評価と有効利用のために

自然界には多種多様な微生物が生息しておりますが、まだ未利用の微生物も多く残されています。これらの微生物の有効利用のためには、微生物の有害性などの特性評価を適切に行う必要があります。そのために、分子生物学的手法などを用いる新しい検出技術や評価法の開発を進めています。

 

研究課題

  • 食品加工・有用物質生産のための微生物変換技術および新規素材の開発
  • 食品醸造基盤技術の高度化と食品産業副産物の利用技術の 開発
  • 高度利用を可能とする微生物機能の解明と改変技術の開発
  • バイオマス変換要素技術の高度化
  • 危害要因の簡易・迅速・高感度検出技術の開発
  • 遺伝資源の収集・保存・活用

主な研究成果

所属ユニット