食品総合研究所

所長挨拶

食品総合研究所所長_大谷敏郎

   食品総合研究所は、昭和9年(1934年)に米穀局内の米穀利用研究所として設立されて以来、約70年間は農水省傘下の国立研究機関として、平成13年(2001年)4月からは他の多くの国立研究機関と同様、独立行政法人として、平成18年(2006年)4月以降は、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の1つの内部研究所として、国の食品研究専門機関としての責務を果たしてきました。

   食品総合研究所が所属する農研機構は、ミッションとして次の6本の大きな柱を掲げています。(1)食料安定供給のための研究開発、(2)地球規模の課題に対応した研究開発、(3)新需要創出のための研究開発、(4)地域資源活用のための研究開発、(5)原発事故対応のための研究開発、(6)農業機械化の促進に関する研究。

   この6つのミッションのうち、食品総合研究所は主として、(1)において、「食品の安全性向上及び消費者の信頼確保のための技術の開発」、(2)において、「国産バイオ燃料・マテリアル生産技術の開発とバイオマスの地域利用システムの構築」、(3)において、「農産物・食品の機能性解明及び機能性に関する信頼性の高い情報の整備・活用のための研究開発」および「農産物・食品の高度な加工・流通プロセスの開発」、(5)において、「農作物等における放射性物質の移行動態の解明と移行制御技術の開発」、の研究開発に取り組んでいます。

   とりわけ、当研究所は研究を通して、国民に安全で豊かな食生活の提供、食に関わる適正な科学情報の提供、食に関わる行政施策への貢献、わが国の食品産業の健全な発展への貢献を大きな役割とし、食品に関わる基礎から応用に至る幅広い研究を実施しています。

 

食品総合研究所の役割
   具体的には、以下の3つの研究分野を中心に、7つの研究領域(研究部)が互に密接に協力しながら、基礎研究や最先端の技術開発だけではなく、日々刻々変化する社会ニーズに応じた研究を行っています。

●農産物および食品の三機能(栄養、感覚・嗜好、生体調節)の評価・解明と利用技術の開発
●農産物および食品の安全と信頼性確保のための技術開発
●農産物の品質および機能性の維持および向上をめざした流通や加工技術の開発

   食品の機能性に関しては、これまで三次機能(生体調節機能)、しかも特定の成分のみに着目した研究が多く行われてきましたが、最近の一斉分析技術の発展などにより、複数成分の組み合わせ、あるいは食品全体を丸ごと評価することも可能になりつつあり、今後は食品の三つの機能性を「栄養・健康機能性」として総合的に評価する体系について検討を進めたいと考えています。安全・信頼の研究分野においても、新たな分析・解析手法の導入や計測工学など、多様な分野との連携による新たな展開について基礎検討を進めています。流通・加工技術に関する研究分野は、工学系研究を中心に、食総研の中でも担当研究者数が多く、食総研内はもちろん、農研機構、あるいは、企業、大学等と共同で研究を進めている例が多く、今後も、新たな原理や単位操作の導入・改良を通じて、流通・加工に適した新たな技術の提供を目指しています。

   食品総合研究所は農研機構の内部組織としてのメリットを活かし、農業研究との連携と情報の共有化を一層強化し、消費者(国民)、行政部局、農業、食品産業を受益者としてとらえ、また、従来の農場から食卓までのフードチェーンに加え健康の維持増進までを研究対象と考え、食と健康の科学的解析、食料の安全性確保と革新的な流通・加工技術の開発、さらに生物機能の高度利用法の開発などの基礎的・基盤的研究にも邁進します。また、食の認知科学、先端加工技術、先端分析・評価・計測研究などの先導的研究にも精力を注ぐとともに、ホームページ等をとおして分かりやすい情報発信に努めます。

   また、当研究所は、事業の必要性や有効性等について国民目線で検証しながら、内部統制の整備・充実、コンプライアンスの遵守、効率的なマネジメントにより研究開発成果の最大化と得られた成果の社会への還元を目指します。これまで開かれた研究所として、国内はもとより、国際化をキーワードに欧米各国の研究機関との協力や開発途上国から多くの研究者を受け入れて研究を実施してきましたが、今後米食が中心の東南アジア圏と連携し、アジアに特有な問題の解決やアジアの実情に合わせた研究を進める必要があります。我が国の産学官の拠点、食品研究をリードする世界センターを目指して、より開かれ活力ある研究機関となるよう、より一層努力を重ねてまいります。

   今後とも、皆様方のご支援とご協力を賜ります様お願い申し上げます。

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
所長 大谷 敏郎
[略歴と研究業績]