農業環境変動研究センター

生物多様性研究領域

里山の風景

生物の多様性は、地球の長い歴史の中で、適応や進化の過程を通して育まれた生物が、お互いにつながることでもたらされています。その多様性には、遺伝子から生態系まで様々なレベルがあります。

地球上の植物、動物、微生物等の生きものは、太陽の恵みの下、大気、土壌、水という様々な環境において、互いに関係しあって生きています。生態系は、そのような一つのまとまりのことで、我々人間もその構成員です。生態系は様々な機能を持っており、我々はそこから様々な生態系サービスを得ています。

農耕地やそれを取り巻く環境も一つの生態系を構成しており、農業は、生物多様性や生態系サービスと深く結びついています。農業は、食料を供給するサービスを有する反面、化学資材の過剰な投入や過度な整備によって生物多様性の低下を引き起こす危険性があります。一方、周辺生態系は、天敵や送粉昆虫の供給源である反面、病害虫の棲みかにもなります。食料を安定的に供給するためには、農業の持続的な発展と生物多様性の保全の両立や調和を図る必要があります。

しかし、都市化や森林伐採等の人間活動の拡大や、耕作放棄等の人間活動の減少、化学資材や外来生物等の新たな導入、さらには気候変動に伴う病害虫の変化等によって、生物多様性は、世界における様々な地域や場面で急激に低下し、絶滅する種も後を絶ちません。結果としてそこから受ける生態系サービスの低下が懸念されています。そのため、国際的には生物多様性条約(CBD)、国内では生物多様性国家戦略などを基にした取り組みが進められています

そこで、当領域では、農業生産と生物多様性保全の両立を目指して、農作物の栽培方法等の違いや土地利用の変化が生物多様性等に及ぼす影響を調べるとともに、農業が受けるまたは農業が生み出す生態系サービスを評価する方法を開発します。また、外来生物のモニタリング、外来牧草の利用便益とリスクの総合的評価、遺伝子組換え作物が在来生態系に及ぼす影響評価等の様々な手法を開発します。さらに、水田から流出する農薬が河川生態系に及ぼす影響のリスク評価手法を開発します。


領域長

與語 靖洋 (よご やすひろ)

所属研究ユニット

法人番号 7050005005207