動物衛生研究部門

所長就任挨拶

(独)農業・食品産業技術総合研究機構
動物衛生研究所長 津田 知幸

4月1日付で動物衛生研究所長を拝命いたしました。独立行政法人として、さまざまな変革が求められているこの時期に、その責務の重大さを痛感しております。

動物衛生研究所は、「生命あるものを衛る」をモットーに動物の疾病の予防、診断及び治療に関する基礎研究から応用にわたる幅広い研究を行っています。農業・食品産業技術総合研究機構の第3期中期計画(H23~H27)では「家畜重要疾病、人獣共通感染症等の防除のための技術の開発」という大課題のもとに、重要な問題解決に向けて12の中課題を設定して研究を実施しています。口蹄疫等の国際重要伝染病の侵入防止技術、ヨーネ病等の家畜重要感染症の高精度診断技術、鳥インフルエンザやBSE等の人獣共通感染症の高感度診断技術等はいずれも疾病防除にとって不可欠な技術です。また、牛乳房炎研究やアルボウイルス病の研究など、現場に直結した研究に加えて、新たなワクチン素材の開発や病態研究、効果的な防疫戦略を策定するための疫学研究、飼養環境における有害要因の低減技術開発、家畜飼養衛生管理システムの開発にも取り組んでいます。これらの研究課題は、すぐに現場で成果を必要とされるものから、数年あるいは十年単位での先を見据えた研究まで様々ですが、いずれにおいても限られた資源で最大の努力を払わなければなりません。

動物衛生研究所は、動物疾病の専門研究機関として、家畜伝染病等の確定診断を行うほか、診断液をはじめとする動物用生物学的製剤の製造と配布や、国内外の獣医技術者に対する講習や研修の事業も国に代わって行っています。これらの要請に応えるため、専門研究分野や研究対象ごとに研究領域とセンターを組織しております。

動物衛生研究所では本年3月末日をもちまして、青森県七戸町にありました東北支所を廃止し、つくばに統合することといたしました。昭和5年(1930年)の設置以来83年間の長きにわたり、馬パラチフスや放牧病研究などに加えて、東北地域に対しても多くの貢献をして参りましたが、その機能は今後つくばで引き継ぐことになります。青森県や七戸町をはじめ東北各県の関係者の皆様にはこれまで大変お世話になりましたことを、この場を借りて御礼申し上げます。

また、4月からはウイルス・疫学研究領域のインフルエンザ研究部門を動物衛生高度実験施設に移し、プリオン病研究と併せてインフルエンザ・プリオン病研究センターとしてスタートいたしました。バイオセーフティ関連の体制整備と併せて研究の効率化と安全確保を図っていくことにしております。

明治24年(1891年)に農商務省仮農事試験場に設置された獣疫研究室を前身として、獣疫調査所、農林水産省家畜衛生試験場と組織形態は変遷しておりますが、動物衛生研究所となった現在でも社会から要請される役割と使命は変わることはないと思います。国内外の動物衛生をめぐる情勢は大きく変化し、周辺諸国では新興・再興感染症をはじめとする新たな疾病の発生も相次いでいます。動物衛生研究所は歴史と伝統を受け継ぎながら、あらゆる状況にも対応できるように、常に高い志を持ち未来に向かってさらに挑戦し続けますので御支援をよろしくお願いします。