動物衛生研究部門

新年を迎えて

(独)農業・食品産業技術総合研究機構
動物衛生研究所長 津田 知幸

明けましておめでとうございます。

昨年末より豚流行性下痢の発生が相次ぐなど、動物衛生や畜産関係の皆様には気が抜けない日々を過ごされたことと思いますが、あらためて新年のお喜びを申し上げます。また、休日中も動物管理や病性鑑定等の緊急対応に備えていただいた職員の皆さんにも感謝申し上げます。

景気回復の声も聞こえ、街を歩く人々の様子にも活気が漲るようになり、今年は明るい年になるのではという期待が感じられています。また、2020年のオリンピックの東京開催に向けての盛り上がりに加えて、今年は2月のソチ冬季オリンピックや6月のブラジルサッカーワールドカップ開催など、国中で盛り上がるスポーツイベントも予定されており、エキサイティングな年になる予感もしています。一方、TPP交渉もこれから山場にさしかかり、我が国の農業、畜産業も大きな転換期を迎えようとしています。農業の新しい形を求めて、農林水産省では「攻めの農林水産業」を旗印にこれから新たな施策が実施されることになっていますし、今年は様々な分野で国際化を見据えた様々な対応が求められると思われます。

さて、昨年末に閣議決定された「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」において、動物衛生研究所が所属する農研機構は、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所および種苗管理センターと統合し、研究開発型の法人とすることが決定されました。平成27年4月の統合を目標に、これから統合法人の組織設計や運営のあり方について具体的な検討が行われていくことになりますが、国民生活の安定と社会経済の発展に貢献するという農研機構の責務と同時に、動物衛生研究所が果たすべき役割も揺るぎないものと確信しています。

動物衛生研究所は動物衛生に関する専門研究機関として、常に新しい知見の探求と技術の革新を通して、日々進化、多様化する畜産現場の衛生問題を解決する技術を開発することを使命としています。また、獣医学研究の中核機関として「One World One Health」を担う役割も期待されており、世界的な人獣共通感染症や食料の安定供給に資する研究開発が要求されています。動物衛生研究所は「動物を守る、ヒトを守る」をモットーに、研究開発を通して我が国の動物衛生状況の向上を目指した活動を行っていますが、攻めの農業にも積極的に貢献していかなければなりません。

研究開発業務と同時に、動物衛生研究所は動物疾病の病性鑑定や動物用希少医薬品の製造・配布、さらに動物衛生に関する講習・研修等の業務も行っています。口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザ等の家畜重要伝染病の病性鑑定では、画像判定や早期診断法の活用など、新たな対処法の積極的な活用にも取り組んでいますが、国の防疫業務を補完するこれらの業務は、国内畜産業を守る極めて重要な業務として、継続して実施していかなければならないと考えています。

国の厳しい財政事情により独立行政法人への運営費交付金は年々削減されており、動物衛生研究所の業務についても人的にも資金的にも厳しい状況にあります。最近では講習会も希望者をすべて受け入れることが出来ず、関係者の皆様にはご迷惑をおかけしておりますが、国内の動物衛生水準を高く維持しわが国の畜産業を守りつつ、攻めの農林水産業にも貢献するために、動物衛生研究所は本年も、攻守にわたりエキサイティングに活動する所存ですので皆様方の応援をお願いいたします。

平成26年1月