動物衛生研究部門

年頭挨拶

(独)農業・食品産業技術総合研究機構
動物衛生研究所長 津田 知幸

明けましておめでとうございます。

動物衛生や畜産関係の皆さんには、鳥インフルエンザや豚流行性下痢(PED)に備えて気が休まらない休日を過ごされたことと思いますが、あらためて新年のお慶びを申し上げます。また、昨年末の宮崎県と山口県での高病原性鳥インフルエンザの発生に際して、徹夜で対応に当たられた関係者の皆さん、そして動物衛生研究所の職員の皆さんに感謝申し上げます。さらに、休日中も動物の管理や緊急対応に備えていただいた職員の皆さんにもお礼申し上げます。

この冬はH5N8亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスの検出が日本のみならず欧州や米国など、各地で相次いでおります。また、年末にプレス発表しました通り、国内には少なくとも2種類以上のウイルスが、おそらく渡り鳥によって持ち込まれていると思われます。鳥インフルエンザに加えて、国内ではPEDは収束には至っていませんし、近隣諸国では未だに口蹄疫の発生が続いています。国内への伝染病侵入のリスクが高まったこのような状況はしばらく続くと思われますので、発生を未然に防ぎ、万が一の場合にも迅速な対応ができるようにしっかり備えて頂くようお願いします。

さて、平成27年の今年は、動物衛生研究所が独立行政法人となって15年目を迎えます。これまでの実績を踏まえて、さらに皆さん方の期待に応えられるような成果を目指して頑張りたいと思います。

動物衛生研究所はわが国の動物衛生に関する専門研究機関として、常に新しい知見の探求と技術の革新を通して、日々変化、多様化する畜産現場の衛生問題を解決することを使命としています。国内には、急性感染症に加えてヨーネ病やサルモネラ、牛白血病等の慢性感染症、中毒や代謝障害等々多くの家畜疾病が問題となっています。また、畜産の大規模化にともなって生じた新たな衛生問題もありますので、疾病防除に関する研究や衛生問題解決のための研究を着実に進めていきます。また、動物衛生研究所は獣医学研究の中核機関として、人獣共通感染症や食料の安定供給を脅かすような動物疾病への対処を通して動物衛生研究所のモットーである「動物を衛る ヒトを衛る」を実践していきます。

動物衛生研究所は動物疾病の診断や予防、治療のための新しい技術を開発することを研究目標としています。そのため、応用開発研究だけでなく基礎研究にも積極的に取り組んでいきます。また、速攻性が期待できる成果を求める短期計画ばかりでなく、ライフサイクルの長い技術確立を目指した長期計画も併せて進めていきたいと思います。動物衛生研究所の研究はまた、動物衛生上の問題を評価し、それをコントロールするための方策を科学的に支えるレギュラトリーサイエンスの側面も持っていますので、常に国内外の最新情報を収集、分析し科学的な評価を行うとともに新たな技術開発につなげることも大事だと考えています。今後、研究資源はますます縮小することが予想されますので、研究の方向付けと目標を明確にして、積極的に外部資金獲得に向けた努力を続けていかなければならないと考えています。

動物衛生研究所では、重要な家畜疾病の病性鑑定、研修生や講習生の受け入れ、動物用生物学的製剤の製造と配布も実施しています。病性鑑定については、検査結果の信頼性確保のための国際認証であるISO17025の取得を開始する予定です。研修会や講習会への参加者は毎年約500名に達しており、特に都道府県の獣医技術者の技術向上に貢献していると自負しているところですが、担当職員の減少により皆さん方からの要望に十分に応えられない場合もあることをご理解を頂きたいとと思います。一昨年に改正された薬事法は、名称変更されて「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律」略称「医薬品医療機器等法」として昨年施行されました。動物衛生研究所疾病対策センター生物学的製剤製造グループについても、その業務と体制の見直しを進めていきます。

さて、平成28年4月には法人統合が予定されています。今年は新法人の組織と制度の設計が予定されていますが、動物衛生研究所がこれまで果たしてきた業務と役割は変わらないと思います。しかし、予算も人員も共に削減されていく中で、すべてが現状のままでいくことは出来ませんので、統合に向けて業務の見直しも進めなければいけません。皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。

本年も動物衛生研究所は活力をもって業務に励んでいきたいと思っておりますので、引き続きご支援頂きますようよろしくお願いします。
最後に、今年一年が皆さんに最良の年となることを祈念して、新年の挨拶といたします。

平成27年1月