動物衛生研究所

所長室から

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 津田 知幸
(つだ ともゆき)

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。

皆様におかれましては平穏な年を迎えられたこととお喜び申し上げます。近隣国では重大な家畜伝染病の発生が相次いでいますが、人の移動が盛んになるこの時期、家畜伝染病の侵入と発生防止にご尽力頂いていることに敬意を表します。

さて、昨年の環太平洋連携協定(TPP)の合意を受けて、国内畜産業の競争力強化は待ったなしの状況にあります。畜産業を強化するためには、安全で信頼される動物性蛋白質の安定供給を支えるための健康な家畜を育てることが重要な課題です。動物衛生研究所は「動物を衛る ヒトを衛る」をモットーにわが国の動物衛生に関する専門研究機関として、家畜伝染病対策を含めて、日々変化、多様化する畜産現場の衛生問題の解決に取り組んでまいりますので、よろしくご支援のほどお願いいたします。

昨年、動物衛生研究所は農研機構シンポジウムとして「国際化する農業における動物衛生研究の展開」を開催いたしました。シンポジウムではこれからの動物衛生研究について、国際トレードに必要なWTO/SPS協定に則した科学的な家畜疾病対策、国内生産力向上のための疾病対策、そして安全な畜産物生産への努力という3つのテーマに整理して課題を紹介したところです。

国内には、急性感染症に加えてヨーネ病やサルモネラ、牛白血病等の慢性感染症、中毒や代謝障害等々多くの家畜疾病が問題となっています。また、畜産の大規模化にともなって生じた新たな衛生問題への対応として、家畜集団を対象とした疾病防除に関する研究も必要です。さらに、人獣共通感染症や食料の安定供給や安全性を脅かすような動物疾病への対処も考えなければなりません。

本年4月には農研機構を含む4法人が統合され、新しい中長期計画で新法人がスタートします。新法人では従来の組織が大幅に刷新されますが、これまで動物衛生研究所が果たしてきた役割は変わることはありません。新たな中長期の研究課題の具体化がこれから進められますが、動物衛生上の問題を解決するためには応用研究から基礎研究まで柔軟に取り組んでいかなければならないと考えます。また、動物衛生研究はレギュラトリーサイエンスの側面も持っていますので、国内外の最新情報を収集分析して科学的評価と対策につながるように結びつくような研究も進めていきます。

動物衛生研究所で行っている家畜疾病の病性鑑定、研修生や講習生の受け入れ、動物用生物学的製剤の製造と配布も引き続き着実に実施してまいります。国際貢献の取り組みとして、FAO/OIE認定による牛疫ウイルスの保持施設の活動も今年から開始されます。これまでの海外機関との協力に加えて、こうした国際貢献にも積極的取り組んでいきます。

本年も動物衛生研究所はますます業務に励んでいきたいと思っておりますので、引き続きご支援頂きますようよろしくお願いします。最後に、今年一年が皆さんに最良の年となることを祈念して、新年の挨拶といたします。

平成28年1月