役割
従来の手法では対処できない新興害虫や侵入害虫の対策に向け、昆虫の生物相互作用に着目して研究を進める。視覚イメージや嗅覚情報コンプレックスに関わる物理的・化学的因子の同定と受容・応答メカニズム解明に基づく昆虫の行動制御技術の開発、ゲノム情報と分子系統学的解析に基づく分子モニタリング技術など新規技術を開発する。
主な研究テーマ
1. 新興害虫・侵入害虫に関わる生物相互作用の解明
昆虫の生物相互作用や環境適応において最も重要なのは視覚と嗅覚である。これらの感覚情報は視覚イメージや嗅覚情報コンプレックスとして統合され、昆虫の様々な行動を規定していると考えられる。本研究課題では、化学生態学および昆虫行動学の視点から、害虫を取り巻く生物相互作用を解析し、視覚イメージや嗅覚情報コンプレックスに作用する物理的・化学的因子の同定と行動学的応答反応の解明を図るとともに、ゲノム情報に基づく分子系統関係を明らかにする。
(タイトル)新興害虫・侵入害虫に対する研究戦略
(説明)様々な側面から害虫の生物相互作用を解析し防除技術の開発に役立てる
主な研究テーマ
2. 土着天敵に関わる生物相互作用の解明
薬剤抵抗性の発達が著しいアザミウマ等の防除技術として、ヒメハナカメムシなど土着天敵類が期待されている。本研究課題では、これら土着天敵類の配偶者探索あるいは雌雄間の性的対立回避の観点から、雌雄間の分散行動・定着行動を解析するとともに、波長選好性や同種間や寄主植物の化学的因子の同定と感覚応答反応の解明を図る。さらに農業生態系における防除効果を評価・検証するために、分子系統解析に基づく昆虫:昆虫間、昆虫:植物間の生物相互作用の解明を進める。
(タイトル)紫色光による天敵カメムシの誘引・定着技術
(説明) 土着天敵のヒメハナカメムシは紫色光に強く誘引される。その特性を利用して圃場にヒメハナカメムシを呼び込み、害虫のアザミウマの密度を低下させることができる。