生物機能利用研究部門

動物機能利用研究領域

領域長:下司 雅也

「ゲノム編集・遺伝子組換え等基盤技術による動物の機能解明とその利用」を目指して

動物機能利用研究領域長
下司雅也(Masaya GESHI)
(略歴と研究業績)

【研究領域の背景】
「ゲノム編集・遺伝子組換え等基盤技術による動物の機能解明とその利用」を目指して

背景

飼料価格の高騰や TPP 等による海外からの畜産物輸入の圧力等によって、現在、国内の畜産は非常に厳しい状況に追い込まれており、国内の畜産においても競争力の強化のために高品質な畜産物を効率的に生産するための高能力な家畜の増殖や育種改良が急務となっています。さらに、温暖化をはじめとした気候変動やグローバルな人・物の流通により、新たな家畜疾病や海外からの疾病の流入が大きな問題となっており、防疫の厳密化だけでは対応が難しいことから、動物が元来もっている抗病性に着目して新たに疾病に抵抗性をもつ家畜の育種改良が求められています。一方、医療研究用動物としてのブタの需要が増加しており、ヒトの高度医療分野の発展のために、疾患モデルブタや異種移植用のヒト化モデルブタ等の開発が望まれています。そのため、近年急速に進化したゲノム編集技術をはじめとした新たな手法や長年当該研究組織で培ってきた技術を最大限に活用した、新たな生殖・繁殖技術の確立とその応用が期待されています。

これまでの私たちの取り組み

「免疫不全ブタ」や「高コレステロール血症モデルブタ」など、医療研究に役立つ遺伝子組換えブタを作出しています。また、超低温保存した幼若期のブタ精巣組織をヌードマウスに移植し、精祖細胞から精子を発生させ、さらに顕微授精により産子を生産する技術を開発しました。さらに、ブタ腎臓組織から単離したマクロファージから、安定的に増殖する細胞株を樹立しました。また、動物の抗体遺伝子をカイコのフィブロインに組み込んで生産させることで、研究用試薬や診断薬キット等の安価な生産に活用できる素材開発を行うことに成功しています。

これからの私たちの目指す方向

遺伝子組換えや新しい生殖技術を駆使して、医療研究用モデルブタ等を作出・評価するとともに、動物遺伝資源の新たな保存・利用技術を開発します。また、家畜に抗病性を付与するための基盤技術を開発します。さらにゲノム編集技術の開発にも取り組んでいきます。


略歴

昭和60年 3月 大阪府立大学大学院農学研究科獣医学専攻博士前期課程修了
昭和60年 4月 農林水産省東北農業試験場 畜産部 研究員(採用)
平成 6年 4月 農林水産省東北農業試験場 畜産部 主任研究官
平成11年 4月 農林水産省畜産試験場 繁殖部 生殖細胞研究室 室長
平成13年 4月 独立行政法人農業技術研究機構 畜産草地研究所
家畜育種繁殖部 受胎機構研究室 室長
平成14年 4月 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
畜産草地研究所 家畜育種繁殖部 受胎機構研究室 室長
平成18年 4月 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
高度繁殖技術研究チーム チーム長
平成23年 4月 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
家畜育種繁殖研究領域 上席研究員(中課題推進責任者)
平成27年 4月 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
家畜育種繁殖研究領域 上席研究員(中課題推進責任者)
平成28年 4月 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
生物機能利用研究部門 動物機能利用研究領域 領域長
現在に至る  

専門分野

家畜繁殖学(ウシ・ブタ)
農学博士(東北大学):「体外受精技術を用いたウシ胚の効率的生産及び利用に関する研究」
獣医師・第1種放射線取扱主任者・エックス線作業主任者

原著論文

  • Suttirojpattana T, Somfai T, Matoba S, Nagai T, Parnpai R, Geshi M (2016) Pretreatment of bovine sperm with dithiobutylamine (DTBA) significantly improves embryo development after ICSI, Journal of Reproduction and Development, in press
  • Inaba Y, Abe R, Geshi M, Matoba S, Nagai T, Somfai T (2016) Sex-sorting of spermatozoa affects developmental competence of in vitro fertilized oocytes in a bull-dependent manner. Journal of Reproduction and Development, 62(5): in press
  • Suttirojpattana T, Somfai T, Matoba S, Nagai T, Pampai R, Geshi M (2016) The effect of temperature during liquid storage of in vitro-matured bovine oocytes on subsequent embryo development. Theriogenology, 85:509-513
  • 秋山 清, 坂上信忠, 中川 浩, 瀬田剛史, 河合愛美, 長井 誠, 林 みち子, 的場理子, 稲葉泰志, 松田秀雄, 今井 敬, 下司雅也 (2016) 多排卵処理後に採取した卵胞内卵子と性選別精液の体外受精によるウシ性判別胚の生産, 日本畜産学会報, 87(2):107-113
  • Somfai T, Matoba S, Inaba Y, Nakai M, Imai K, Nagai T, Geshi M (2015) Cytoskeletal and mitochondrial properties of bovine oocytes obtained by Ovum Pick-Up; the effects of follicle stimulation and in vitro maturation. Animal Science Journal, 86:970-980
  • Hirayama H, Moriyasu S, Kageyama S, Sawai K, Takahashi H, Geshi M, Fujii T, Koyama T, Koyama K, Miyamoto A, Matsui M, Minamihashi A (2014) Enhancement of maternal recognition of pregnancy with parthenogenetic embryos in bovine embryo transfer. Theriogenology, 81:1108-1115
  • Goto Y, Hirayama M, Takeda K, Tsukamoto N, Sakata O, Kaeriyama H, Geshi M (2013) Effect of synchronization of donor cells in early G1-phase using shake-off method on developmental potential of somatic cell nuclear transfer embryos in cattle. Animal Science Journal, 84:592-599
  • Takahashi T, Inaba Y, Somfai T, Kaneda M, Geshi M, Nagai T, Manabe N (2013) Supplementation of culture medium with L-carnitine improves development and cryotolerance of bovine embryos produced in vitro. Reproduction, Fertility and Development, 25(4):589-599
  • 笹木教隆, 齋藤公治, 山口大輔, 億 正樹, 安川幸子, 高橋ひとみ, 橋谷田 豊, 下司雅也 (2012) 単為発生胚との共移植が凍結-融解後のウシ体内受精胚の受胎成績に及ぼす影響, 日本胚移植学雑誌、34(1):1-8
  • Mizutani E, Yamagata K, Ono T, Akagi S, Geshi M, Wakayama T (2012) Abnormal chromosome segregation at early cleavage is a major cause of the full-term developmental failure of mouse clones. Developmental Biology, 364:56-65

参考URL

http://researchmap.jp/read0085760/

法人番号 7050005005207